2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18653059
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山岸 俊男 北海道大学, 大学院文学研究科, 教授 (80158089)
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Keywords | 互恵性 / ヒューリスティック / 社会的交換 / 進化 / 適応 / 制度 / 文化 |
Research Abstract |
最後通告ゲーム及び独裁者ゲームを用いた一連の実験研究を実施し、ゲームの種類によって実験参加者が報酬分配に際して喚起する動機の種類が異なること(最後通告ゲームでは交渉動機、独裁者ゲームでは公平維持動機)を明らかにした。続いて、分配者の選択が公平分配と自分に有利な分配の2択に限定されている省略型最後通告ゲームを用いた実験により、分配者が不公正な意図を持たないまま不公正分配を実験者により"強制"される意図なし条件において、不公平な分配を拒否して両者の報酬をゼロとする受け手役の参加者は、意図に反応するのではなく結果の公平性にのみ反応する人々であることを明らかにした。更に、省略型最後通告ゲームに加えて、受け手による拒否が受け手の報酬のみをゼロにする一方的最後通告ゲームと、その上、受け手が拒否をしたことさえ分配者に伝えられない伝達なしゲームを加えた実験を実施し、これら2種類の一方的最後通告ゲームでの拒否が最後通告ゲームでの拒否率の半分程度存在していることを明らかにした。加えて,伝達ありゲームと伝達なしゲームの間で,拒否率に差がないことも明らかにされた。これらの結果は,最後通告ゲームでの不公平分配の拒否のかなりの部分が,同一性保護に基づいていることを示唆するものである。また省略型独裁者ゲームでの分配者に対する罰の行使を、不公平な分配の受け手が罰の行使者である2者罰条件と、第3者である3者罰条件とで比較し、いずれの条件においても、分配者の意図が効果を持つのは、罰が2択(罰する・罰さない)の場合のみであり、罰が連続量(金額)により決定される場合には、分配者による利己的な意図の効果が存在しないことを明らかにした。また視線追試装置を用いた実験では、協力者と非協力者によるPDマトリックスの理解が、きわめて早い時期になされることが明らかにされた。
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