2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18653061
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
内藤 俊史 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (10118979)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 明子 作新学院, 人間文化学部, 助教授 (20334568)
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Keywords | 感謝心 / 道徳的感情 / 自然観 / 環境態度 / タイ |
Research Abstract |
自然に対する感謝感情と環境保護の態度との関係を調べるために質問紙を作成した。既に行われた予備調査に基づき、質問紙には、以下を測定するための質問項目を含めた-1)自然への感謝心、2)自然に対する一般的な感情(イメージ)、3)環境態度尺度。それらの質問内容は、日本語とタイ語で作成されたが、Back translationの手続きにより翻訳の適切性のチェックを行った。調査は、日本の東京都内と栃木県の大学生228名、タイのバンコック市内の大学生238名を対象として、実施された。その結果、日本とタイと大学生において共通して、自然への感謝感情として、「ありがたさ」と「すななさ」という2つの因子が見出された。また、自然に対する一般的な感情(イメージ)については、「一般的な好意的感情」と「恐れ」の因子が見出された。一方、環境態度尺度については、日本とタイの大学生の間で、若干の相違がみられた。日本の大学生においては、「保護といたわりへの意志」「外的な統制/自然の維持」「保護への意志/人間中心」という3因子が見出されたが、タイの大学生においては、「資源へのいたわり/人間中心」「保護といたわりへの意志」「外的な統制/自然の維持」の因子が見出された。これらの結果に基づき、「自然へのありがたさ」「自然へのすまなさ」「自然への好意的感情」「恐れ」の変数を構成し、環境への態度についても日本、タイそれぞれ3つの変数を構成した。それらの変数を用いて、パス解析を行ったところ、日本の大学生においては、「自然へのすまなさ」が、他の感情変数と環境への態度変数とを媒介するモデルが適合度の高いモデルであった。他方、タイの大学生においては、環境態度に対して、感情変数は、それぞれ異なる形で関連をもっていた。日本の大学生における「自然へのすまなさ」のもつ意義は、これまで指摘されてきた「すまない」という感情の意義についての指摘と一致している。
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