2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18653062
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
浦 光博 Hiroshima University, 大学院・総合科学研究科, 教授 (90231183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入戸野 宏 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 准教授 (20304371)
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Keywords | ハイ・メインテナンス / 特性的自己調整能力 / ERP / Go / Nogo課題 / 自己調整資源 / fMRI / 社会的排斥 / 前部帯状回復側部 |
Research Abstract |
社会心理生理学的な観点から自己調整か諦観する2つの研究を行った。 まず脳の電位変化(event-related Potential : ERP)を指標として自己調整過程について検討した。具体的には、自己調整資源の減損の程度がERPに反映されるかを検討した。実験操作として,ダウンロード時間が長いブラウザを用いてネットサーフィンを行わせた。自分の欲求を抑えてコンピュータのペースにあわせる」という作業は,自己調整資源を減損させると考えられる。ERPの測定にはGo/Nogo課題を用いた。画面上に2つの刺激(0かX)がランダムな順序で1秒に1回ずつ呈示し,一方の刺激にのみできるだけ速くボタンを押すように参加者に求めた。自己調整資源が減損しているときは反応抑制機能が低下し,この課題における行動成績の低下がみられると予想される。Go/Nogo課題を用いた先行研究と同様,Go刺激にはP3,Nogo刺激にはNogo N2とP3が惹起されることが確かめられた。 次に、社会的な排斥を受けたときの自己調整資源としての自尊心の働きについて、fMRIを用いた実験を行った。サイバーボール課題中に排斥を受けた場合の脳活動と個人の特性的自尊心との関連を分析した。排斥時の前部帯状回腹側部(vACC)の活性の程度と特性的自尊心得点との間に有意な負の相関が認められた。また排斥時に感じる主観的なディストレスと特性自尊心得点との間にも有意な負の相関が認められた。前部帯状回腹側部の活性は情動的な不快さを反映するものであると考えられることから、特性的な自尊心は社会的な排斥による心理的な痛みを緩和することを通じて自己調整資源の減損を抑制する機能を持つ可能性が示唆される。
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