2008 Fiscal Year Annual Research Report
新しい描画調査の開発とその画像解析による社会心理学的応用
Project/Area Number |
18653063
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
竹村 和久 Waseda University, 文学学術院, 教授 (10212028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩満 優美 北里大学, 大学院・医療系研究科, 准教授 (00303769)
若山 大樹 駒澤大学, 経営学部, 専任講師 (40363741)
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Keywords | 描画 / 画像解析 / 社会調査 / 投影法 / 社会心理学 / 臨床心理学 |
Research Abstract |
本研究では、描画から社会心理学的解釈を行う方法論と研究知見を見出すことを目的とした。具体的には、まず第1に、調査から得られた描画を幾つかの領域に分割し、各領域で濃度ヒストグラムによる空間レベル依存法を用いた定量的特徴の分析、及び色彩の配色に関する定量的分析を行う。本年は、国内での精神病院、大学でのデータ収集、ロシア、スウェーデンでの描画収集を行った。第2に、描画調査と質問紙調査を併用し、描画の特徴次元と、評価者の印象用語との関係構造を、多変量解析によって明らかにした。また第3に、分析から得られた描画の基本的特徴の心理的効果を計量的手法により明らかにし、描画の心理的解釈の妥当性を検討した。 本研究では、日本人大学生、日本人成人、ロシア人大学生、スウェーデン人学生に、それぞれ「日本人」、「ロシア人」、「スウェーデン人」、「精神疾患患者」の人物画を描かせ、描画の統計的解析からステレオタイプや偏見の社会的態度や判断の測定可能性の検討を目的とした。画像解析の特徴量として画像濃度を用いて、濃度平均、濃度重心、重心点を視点とした濃度分散を用いた描画の大きさ指標を提案した。第2に描画項目を数量化することで描画内容の定量的分析を実施した。あらかじめ描画の評価基準を定め、描画項目を数量化してコレスポンデンス分析を実施した。スウェーデン人のデータはまだ解析中であるが、画像解析による特徴量からロシア人大学生は自国民を他のものより大きく濃く描き、日本人はロシア人を大きく描いていた。また、描画評価指標を用いた描画の内容の統計分析からは描画者の属性や、描かれた人物画の属性による特徴が認められ、特に日本人は描画対象に対する特徴付けが大きい事が示唆された。本研究の結果から、描画の統計的解析手法が、描き手のステレオタイプや偏見についての社会的態度や判断の測定に有効である可能性が示唆された。
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Research Products
(8 results)