2007 Fiscal Year Annual Research Report
発達の多様性を描くための複線径路・等至性モデルの開発
Project/Area Number |
18653069
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
佐藤 達哉 Ritsumeikan University, 文学部, 教授 (90215806)
|
Keywords | 複線径路・等至性モデル / 等至点 / 文化心理学 / システム / 質的研究 |
Research Abstract |
複線径路等至性モデル(TEM)は人間を環境から孤立した閉鎖システムとして捉えるのではなく、あるいは、ライプニッツが言うようなモナド(原子)として考えるのではなく、環境と常に交流・交互作用している開放システムとして捉え、ある経験に至る道筋や、その後の多様な径路を描くための方法論である。 研究2年目の2007年度は、月一度の研究会を行い、実証研究・理論研究を深めた。また海外協同研究者のヴァルシナー教授を日本に招き、文化心理学に関する公開シンポジウムをはじめいくつかの講演や講習会を行った。理論的には、個人の発達における記号の意味を明確にし、記号の発生が、個人の文化的発達をガイドするという発生の三層モデルについての理論的展開を行った。 また、これまでは等至点をサンプリングするという意味で等至点を同一のものと見なしてきたが、時間的経緯を丁寧にみることによって、個人個人の等至点の意味の違いに気づくことができることから、個人の経験を時間とともに取り出すことの重要性を指摘することができた。 具体的な成果として、ケンブリッジ大学出版会「社会発達心理学ハンドブック」の概説論文(英文)、妊娠中絶に直面した女性についての論文(和文)、心理学専攻生の進路選択についての論文(英文)が刊行された。 また、発達心理学会第19回大会(2008年3月)において、自主シンポジウムを行うなどして、方法論の普及につとめている。さらに、2008年9月の単行本刊行を目指して現在原稿を執筆中である。
|