2006 Fiscal Year Annual Research Report
父ー母ー子三者の新しい相互作用観察法の日本への導入の可能性についての研究
Project/Area Number |
18653072
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
本城 秀次 名古屋大学, 発達心理精神科学教育研究センター, 教授 (90181544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
氏家 達夫 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (00168684)
村瀬 聡美 名古屋大学, 発達心理精神科学教育研究センター, 助教授 (30335020)
金子 一史 名古屋大学, 発達心理精神科学教育研究センター, 助教授 (80345876)
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Keywords | 親子 / 三者 / 相互作用 / 観察法 / CPICS / 夫婦の愛情関係 / 子どもの問題行動 |
Research Abstract |
本研究では,父-母-子の三者相互作用について分析可能であるChild-Parent's Interaction Coding System(CPICS)を日本で初めて使用し,1歳半の子どもを持つ一般健常家族10例における、家族のかかわりの特徴を検討した。さらに、夫婦の愛情関係や子どもの問題行動と家族のかかわりの特徴との関連について検討した。 この結果、父子、母子の二者関係においても父-母-子の三者関係においても、両親は子どもからの働きかけを優先してかかわりを行っていること、しかし、父親より母親の方が子どもの働きかけに敏感に応え、良好な相互作用を結べることが示唆された。夫婦の愛情関係と家族のかかわりの関連については、夫婦の愛情関係が良好であるほど、親の子どもに対するポジティブな表情の働きかけが多く、一つの文脈でのやりとりが長く続くなど、三者関係において質の高い相互作用を結べることが示された。子どもの問題行動と家族のかかわりとの関連については、子どもの働きかけや反応を両親が「承認」し、それに対してさらに子どもが多く反応しているほど、内向的な問題を中心とするさまざまな問題行動の報告が少ないことが明らかになった。 以上の結果から、家族のかかわりを検討するには、従来のように「父-子」または「母-子」のみをとりあげるだけでなく、「父-母-子」の三者相互作用を扱うことが重要であると示唆された。現在、1歳半だけでなく、様々な年齢群の子どもをもつ家族を対象に調査を実施しているほか、8ヶ月時点と1歳半時点にCPICSを実施することにより、家族のかかわりの特徴や子どもの反応性の能力の変化について縦断的な視点からの検討を試みている。 今後は,何らかの病理を持つ家族に対して調査を行い、そのかかわりの特徴を明らかにすること,CPICSの臨床的応用の可能性について検討していく予定である。
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