2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18653079
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Research Institution | Osaka University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
苧阪 満里子 大阪外国語大学, 外国語学部, 教授 (70144300)
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Keywords | ワーキングメモリ / 情動 / リーディングスパンテスト / fMRI |
Research Abstract |
本研究の目的は、情動評価をとりあげ、情動のフィルターを通したワーキングメモリの機能を、脳の神経基盤を基に解明することである。 ワーキングメモリの中心を成す中央実行系は注意の制御系とも呼ばれるように、課題の遂行を進めるための制御システムであり、課題遂行への重要な役割を受け持つところであるが、反面人間の情動にも影響される可能性は十分に予想される。この一つの原因として考えられるのが、ワーキングメモリの神経基盤である。ワーキングメモリの神経基盤の核をなす前部帯状回は情動制御とかかわりを持つ。そのため注意の制御に関わる中央実行系の統御システムが、"うれしさ"や"怒り"、"かなしみ"などの情動の修飾を受けることは否めない。 ここでは、中央実行系の機能を評価するテストとして、リーディングスパンテスト(Reading span test)を用いた。そして、その遂行に及ぼす情動の効果を検討した。具体的には、RSTの刺激文に情動を喚起する文を用いて情動RSTを作成し、情動の喚起の少ないRSTと遂行成績の比較を行なった。 情動には肯定的情動(positive emotion)と、否定的情動(negative emotion)の2種類の情動を用いた。その結果、肯定的情動条件ではRSTの遂行成績に促進効果が認められた。一方、否定的情動条件では、成績の低下が認められた。 ここで得られた知見を基に、fMRIによる神経基盤の検討を試験的に実施した。その結果、肯定的情動は、脳の帯状回の活動を高めワーキングメモリの課題遂行に必要な注意の制御機能を促進することが、他方、否定的情動は、脳の帯状回を中心とする制御機能に干渉を起こして、課題遂行を妨害することが推察された。
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Research Products
(1 results)