2006 Fiscal Year Annual Research Report
ことばの遅れか障害かを文法習得の躓きで判定する方法に関する研究
Project/Area Number |
18653121
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
田中 裕美子 国際医療福祉大学, 保健学部, 准教授 (60337433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 喜久雄 独立行政法人国立国語研究所, 研究員 (20173693)
石田 宏代 北里大学, 医療衛生学部, 准教授 (30286380)
入山 満恵子 明倫短期大学, 歯科衛生士学科, 講師 (40389953)
柴 玲子 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (70406908)
兵頭 明和 国際医療福祉大学, 大学院, 教授 (10275787)
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Keywords | 言語発達障害 / 文法障害 / 発話コーパス / 発話分析法 / ナラティブ再生法 / 言語学習障害 |
Research Abstract |
文法習得の評価方法の開発および文法障害とは何かについての文献研究を初年度の目標とした。 (1)文法規則の理解と応用力を評価しうる発話誘発課題を考案・作成し、予備実験を行った。 1.ナラティブ誘発課題「Frog, where are you?」(Mayer, T 作)の日本語版作成した。 2.再生法(retelling)による発話サンプルを、大学3年生45名、学童25名、幼児25名、言語発達障害・言語学習障害児15名から収集した。 3.これまでの日本における発話分析法研究を文献考察結果に基づき、MLU-m, T-unitしによる発話の数量化を行った。 4.数量化による分析結果を年齢(幼児、学童、成人)、障害の有無(健常、発達障害)で比較を始めた。 5.発話の数量化に基づく分析法を考案中であり、1)ナレーション(刺激)の発話と被験者の発話の違いを年齢、障害の有無で比較、2)複数の評価者による数量化の結果から、1つの発話、一人の発話サンプルなどいろいろなレベルでの評価者10名の一致率を年齢、障害の有無で比較する。 (2)文法障害について文献と実際の事例から検討した。 1.文献研究:英語、広東語における文法障害とは何か。 英語圏の特異的言語発達障害(SLI)は形態素の獲得の遅れが指摘されていると同時に、言語の違いにより同じ症状が発現するわけではないことも分かっている。そこで、日本語の構造により近い広東語SLIの近年の研究知見について検討したところ、語彙と構造指標との間に相関がないこと、アスペクトなど文法形態素の習得の遅れはあるが、健常児と比べて発現が少ないという現象が中心で文法障害かどうか不明であると分かった。日本語では、成人失語症の失文法(助詞の省略)および錯文法(助詞の誤用)とされ、近年、失文法はさらに誤用、動詞の省略、構造が単純で短いなども含まれるようになっている。 2.日本語の獲得研究について言語学者を招聘して専門知識の提供を受けた。 言語学領域における日本語の獲得研究の中でも、現代言語学的アプローチ「言語(成人文法)の解明を通して心・脳のしくみを探る」「獲得過程の解明を通じて心・脳の発達を探る」における次の最近の研究知見を学んだ。(1)格助詞の誤用や脱落、(2)動詞の屈折や自他、(3)受動態(受身文の理解、間接受身)、(4)使役(生産的使役)など。
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Research Products
(1 results)