2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18654005
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
若山 正人 九州大学, 大学院数理学研究院, 教授 (40201149)
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Keywords | α行列式 / パーマネント / 巡回加群 / 既約分解 / リース積 / 量子群 / dual pair / コンテント多項式 |
Research Abstract |
代表者は,当該年度中に研究協力者とともに以下の研究を行った. α行列式の不変式論と表現論の研究を創始し発展させた.α行列式は確率論・統計学の文脈から現れた概念である.本研究課題の採択のおよそ10ヶ月前より,α行列式が定める一般線型群の巡回加群の構造の研究を始めていた.α行列式は,α=-1のときが通常の行列式であり,α=1のときはパーマネントとなる.言い換えれば,α行列式は行列式とパーマネントを補間する概念である.また,行列式は一次元表現(したがって既約)を定め,パーマネントが定める巡回加群は対称テンソルのなす既約表現を生成する.したがって,一般のαの場合に巡回加群がどう既約分解されるかというのが興味ある問題であった.得られた結果は 1.αが一般的な値の場合には,n次一般線型群の定める巡回加群はベクトル表現のn個のテンソル積の空間を生成する.さらに,αが一般線型群の有限次元既約表現を定める分割に対する所謂コンテント多項式の根であるときには,その表現が上記のテンソル積空間の既約分解から抜け落ちることを示した.(松本詔との研究) 2.上記の1で述べたコンテント多項式の根の値は1/k,-1/k(k=1,..,n-1)で尽くされる.いま,それらを退化値と呼ぶ.これらの退化値に対して,行列式の拡張であるwreath行列式という新しい概念を長方形行列に対して定義した.これらは,対称群のwreath積の相対不変式を定めることがわかり,Howeのdual pairの理論を使うことによって.表現論,不変式論を展開した.また,wreath行列式を用いたSchur関数などの対称関数の新しい表示にたいする研究も行った.(木本一史との研究) 3.量子群の枠組みで1の研究を発展させた.これは,1の研究の単なる類似に収まらず,これまでにないqと1/qの理論の間の新しい双対性を垣間見ることとなった.この双対性に関する予想の定式化も行った.(木本一史との研究)
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Research Products
(3 results)