2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18654016
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小澤 正直 東北大学, 大学院情報科学研究科, 教授 (40126313)
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Keywords | 公理的集合論 / ブール代数値モデル / 量子論理 / 量子集合論 / von Neumann代数 / 量子力学 / 量子完全相関 / 移行原理 |
Research Abstract |
1.量子集合の構成:任意のvon Neumann環の射影束を論理とする量子集合論の普遍類を定義し,それらを定項として含む集合論の任意の論理式にその射影束の元を真理値として対応させる規則を定義し,有界論理式の真理値は,その定項が含まれる部分環に依存しないで絶対的に定まること(絶対性性原理)を証明した。また,ZFC集合論の普遍類からの埋め込みを定義し,それらのみを定項として含む有界論理式の真理値は,ZFC集合論における真理値と一致することを示した。 2.量子集合論における移行原理:定項の集合に対して,それらが互いに可換であることを意味する命題の真理値を定義し,ZFCで証明される任意の有界論理式について,その定項に関する可換性の条件の下では,量子集合論で常に成立する事を表す移行原理を証明した。 3.量子集合論における実数の構成:量子集合論の実数の全体とその射影束をもつvon Neumann環にaffiliateする自己共役作用素の全体が一対一に対応する事を証明し,量子集合論の実数が数直線の区間に属する真理値が対応する自己共役作用素のその区間に対するスペクトル射影と一致することを示した。この事から,量子集合論の実数に関する命題は,量子系の物理量に関する観測可能な命題と対応づけられる事が導かれた。 4.量子実数論における相等関係:量子集合の間の相等関係は一般に等号公理を見たさないにもかかわらず,量子実数の間の相当関係は,非可換なもの同士であっても等号公理を満たすことを示した。 6.相等関係と量子完全相関の対応:二つの実数が等しいという命題を所与の状態で成立する事と,対応する物理量がその状態で完全相関している事が同等である事を証明して,量子完全相関の様々な性質について調べた。
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