2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18654022
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小林 亮 広島大学, 大学院理学研究科, 教授 (60153657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中垣 俊之 北海道大学, 電子科学研究所, 助教授 (70300887)
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Keywords | 真正粘菌 / 変形体 / 最短経路探索問題 / Physarum / Physarum Solver / カーナビゲーション / スタイナー問題 |
Research Abstract |
真正粘菌変形体では運動と情報処理がダイナミックに渾然一体となって行われている。我々はこの生物を振動する多孔質媒体としてモデル化することにより、位相ダイナミクスを再現した。このモデルから、周辺部のstiffnessが中心部に比べて低いことが、コヒーレントな位相分布と、強い原形質流動を生み出す元となっていることが強く示唆された(J.Math.Biol.)。 真正粘菌変形体が迷路を解く能力があることが実験によって示されているが、我々はその過程を数理モデルで表現することにより、グラフ上の最短経路探索問題のソルバーを開発した。具体的には、グラフを流体が流れる管のネットワークとみなし、edgeに対し長さだけでなく、太さという属性を与えることでソルバーを構成する。グラフ上の出発点とゴールを流体の流入口と流出口とみなし、流路ネットワークを流れる流量を電気回路の計算と同様な方法で求める。各管が時々刻々の流量に応じ適応的に太さを変化させるというところが、このソルバーのキーポイントである。定流量の条件を課してシミュレーションを行うことで、グラフ上の最短経路を求められることが示された。この際、管の太さの適応の仕方を決めている関数形を様々にとることで、得られる解が違う。関数形を線形にとった時は、初期値によらず常に最短経路が得られることが、シミユレーションによって確かめられた。このソルバーに関して数学的解析を行い(J.Theor.Bio.)、また典型的な最短経路探索問題であるカーナビゲーションに適用した(PhysicaA)。我々はこめソルバーをPhysarum Solverと名付けた。 現在このPhysarum Solverをベースとして、最短経路探索問題より遥かに困難なスタイナー問題を解くソルバーを開発中である。
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Research Products
(3 results)