2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18654024
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
寺尾 宏明 北海道大学, 大学院理学研究院, 教授 (90119058)
|
Keywords | 超平面配置 / ランキング / 組みひも超平面配置 / 部屋 / 中面 |
Research Abstract |
本研究に至った背景を思い起こしてみると,中面超平面配置(mid-hyperplane arrangements)が統計学および計量心理学におけるfolding modelの数学的解釈を与えていることが背景であった. 18年度はこのような超平面配置の理論と社会科学との意外な関連をさらに追及した.その結果,ミクロ経済学の社会選択論(social choice theory)におけるK.Arrow(ノーベル経済学賞)の「不可能性定理」が組紐平面配置(braid arrangements)としての数学的formulationをもつことが明らかになった.しかも,その結果ははるかに一般に,すべての分解不能な超平面配置に対しての定理に拡張できることを証明することができた.(to appear in Advances in Math.).この数学的結果が社会選択論にどのような影響を与えうるかは,来年度以降の課題である. また,中面超平面配置の特性多項式を求める方法として用いられた有限体法は,素数を法として超平面配置を考えて,その補集合の点数を数えるという方法であるが,より一般に,任意の正整数を法とする超平面配置を考えることによって,より効率的に特性多項式が決定できる可能性がある.すなわち,補間法を用いるときに,実際に決定しなければいけない点数を大幅に減ずることが期待される.昨年度は,この方向の研究を進めて,擬特性多項式の概念に到達した.つまり,素数とは限らない正整数を法とする場合は,単一の多項式ではなく,有限個の多項式が周期をもって巡回的に出現する。この理論は,まだ発展途上であり,次年度以降に論文としてまとめる予定である.
|