2007 Fiscal Year Annual Research Report
強電子-格子結合系における光誘起力学特性変化の探索
Project/Area Number |
18654051
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
腰原 伸也 Tokyo Institute of Technology, フロンティア研究センター, 教授 (10192056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 忠彦 東京工業大学, 火山流体研究センター, 助教 (70313327)
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Keywords | 光物性 / 物性実験 / 分子性固体 / 光誘起相転移 |
Research Abstract |
本研究では、申請者らの研究によって光励起状態での構造変化が大きいことが予測されている電子-格子強結合系物質や有機錯体結晶を中心に、光励起によって弾性特性等の力学特性に変化を示す物質探索を行うことを目的としている。またこの目的達成の為に、申請者らが開発し実用レベルに到達しつつある、パルスX線発生法(SOR光)と同期光励起の組み合わせ技術を利用して、探索のための測定装置試作とデモ実験を試行することも重要な目的としている。本年度は引き続き装置準備として、圧縮率測定のための高圧セル(共同設備)の組み合わせ改造を実施した。高圧装置に励起光を導入する為の、超短パルスファイバーレーザーの準備も行った。また実際に超高圧をレーザーアブレション法で発生させ、それによって誘起された構造・力学特性変化を半導体CdSで観測することにも成功した。さらに強い電子-格子結合が予測される新しい物質である高濃度カルシウムドープチタン酸バリウム結晶を準備し、本格的な物質特性の評価を開始した。測定として光励起の無い状態で電場誘起による結晶歪み効果を測定し、現在実用に供されているPb含有型セラミックスを遥かに凌駕する巨大な電場誘起歪み効果を確認した。これは緊急性を持った応用上も重要な発見である為、本年度はこの物質探索部分に重点を置いた研究展開を行った。その結果、カルシウム濃度が30%超までの単結晶の作製に成功するとともに、量子揺らぎを伴う特異な温度-組成相図や、370K-2Kの非常に広範な温度域で、温度依存性、周波数依存性をほとんど示さない大きな誘電応答など、数々の特異な物性を発見することが出来た。これらを現在論文に投稿中である。
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