2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18654052
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
武田 三男 Shinshu University, 理学部, 教授 (20115653)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 真 名古屋工業大学, 工学系研究科, 准教授 (40262886)
樋口 雅彦 信州大学, 理学部, 准教授 (10292202)
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Keywords | メタマテリアル / テラヘルツ電磁波 / 負の屈折率 / フォトニック結晶 / 強誘電体 / テラヘルツ時間領域分光法 / フラクタル / H字フラクタル |
Research Abstract |
本研究では、極性ファノンをもつある種の強誘電体では、テラヘルツ領域においてその振動数の近傍において誘電率が0を切って負の値を示すことに着目した。特に誘電率が0に極めて近い振動数を持つ電磁波をこの強誘電体内部で発生させると外部に放射される電磁波は境界面にほとんど垂直に放射される。一般の極性フォノンは中赤外より短い波長(高い振動数)領域にあり誘電率が負となることは実際には極めて稀である。ところが、幾つかの強誘電体の強誘電相転移に関与するソフトフォノンでは、テラヘルツ領域において実際に誘電率が負となる。本研究はこの誘電率が極めて0に近いもしくは負となる領域における物質中の電磁波伝播特性を理論的に解明しかつテラヘルツ電磁波の制御を実証することを目的とする。 本年度では、以下の研究成果を得た。 (1)フラックス法及びイメージ炉による強誘電体単結晶の育成と試料作製 フラックス法による強誘電体単結晶Bi_4Ti_30_<12>および,Bi_<4-x>La_xTi_30_<12>混晶を育成した。誘電率測定,DTA測定およ偏光顕微鏡観察により,Bi_<4-x>La_xTi_30_<12>混晶の温度濃度相図を明らかにした.Bi_4Ti_30_<12>の分極反転可過程のその場観察により,90°ドメインを有する系の分極反転カイネチクスを明らかにした. (2)H宇型フラクタルの作製とTHz透過特性の測定 自己相似構造であるH字型フラクタルによりテラヘルツ電磁波が局在することを実験及び数値解析により検証し、論文とした。高抵抗シリコン基板上にH字パターンを自己相似的に描き、その透過特性をテラヘルツ時間領域分光により測定し、共鳴モードの存在を確認し、その局在モードパターンを数値解析により特定した。共鳴波長のステージ数およびライン幅依存性を詳細に調べ、ステージ数を上げることにより構造体自身の面積をさほど変えることなしに共鳴波長を大きく制御できることを実証した。 (3)電子バンド理論による負の透磁率を持つ可能性をある物質の物性パラメーターの探索 メタマテリアルのバンド構造解明のためには,磁化と電気分極を同時に再現する理論が必要である。「拡張された制限つき探索理論」を適用すれば可能と思われるが,本年度はまず磁化を扱うための理論の整備を行った。すなわち、電流密度汎関数理論(CDFT)の交換相関エネルギー汎関数の構築である。開発した汎関数はその有効性が一様系で確認され,磁化を取り込む準備は整ったと言える。電気分極の取り込みについての考察も始まった。
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Research Products
(10 results)