2007 Fiscal Year Annual Research Report
磁性的秩序を制御するための時間遅れフィードバック法の理論的研究
Project/Area Number |
18654064
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
筒 広樹 Kyoto University, 情報学研究科, 助教 (80303890)
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Keywords | 磁性 / 時間遅れ制御 / 時間遅れ制御 / 非平衡物理 |
Research Abstract |
本課題では、遅延フィードバック法を磁性体に用いて、磁性的秩序を制御するための研究を行っている。基本的な仕組みは、周期外力によって目標とする不安定な周期状態を生成し、遅延フィードバック法を用いて、その不安定な周期状態を安定化するというものである。担当者は特にこのような方法を微小(ナノ)磁性体に適用することに興味を持っている。微小な系における制御では、制御に要する時間(遅れ時間)が被制御系の緩和時間に比べて無視できなくなることや、熱揺らぎなどの環境の影響、発熱といった問題がある。担当者はこのような問題を非平衡物理学の立場で考えており、制御理論を取り込んだ新しい理論の創生を目指している。平成19年度は、まず、ランダウ・リフシッツ・ギルバート(LLG)方程式を用いた単磁区磁性体のモデルにおいて、熱揺らぎがある場合の制御状態の安定性条件やその状態におけるゆらぎの統計的な性質、仕事率とノイズの関係について調べた。この研究では、LLG方程式をステレオ射影の方法で2つの複素平面で記述した確率微分方程式を用い、この確率微分方程式からフォッカー・プランク方程式を導き制御された状態おける線形揺らぎを調べた。この方法は時間遅れ系に限らずLLG方程式を取り扱うような系において有効であり、今後の課題研究の進行を加速させるものと考えている。(この成果は現在投稿準備中)また、同系において起きる確率共鳴現象を調べた。通常の確率共鳴ではノイズ強度に対してSNRをプロットするとある特定のノイズ強度でSNRのピークが現れるが、本系の場合はさらにフィードバックループに起因した新しい特徴時間の影響で複数の共鳴ピークが表れることを見出した。
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