2006 Fiscal Year Annual Research Report
環境制御型SEMを用いたエアロゾル-雲遷移過程のナノレベル観察実験
Project/Area Number |
18654081
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
林 政彦 福岡大学, 理学部, 教授 (50228590)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 圭一郎 福岡大学, 理学部, 助手 (10390593)
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Keywords | エアロゾル / 湿度特性 / 環境制御型SEM / 潮解 / 硝酸ナトリウム粒子 / 海塩粒子 / 硫酸塩粒子 / 鉱物粒子 |
Research Abstract |
環境制御型SEMを使用し形態観察・元素組成分析を行いエアロゾル粒子と粒子を取り巻く水蒸気との相互作用について検討を行った。研究の概要は以下のとおりである。 1)塩化ナトリウム粒子、硫酸アンモニウム粒子の湿度特性 環境制御型SEMでのエアロゾル粒子の吸湿特性観察の精度を評価するために、海塩粒子のモデル粒子として塩化ナトリウム粒子、および、硫酸塩粒子のモデル粒子としての硫酸アンモニウム粒子を実験試料として使用して、潮解、風解、平衡含水量の評価に関する実験を行った。塩化ナトリウム粒子の潮解点が観察される相対湿度については、各実験条件で精度良く評価することができた。また、サンプルシート上の硫酸アンモニウム水溶液滴粒子の平衡含水量の評価を行う方法を確立した。この実験結果については、論文発表準備中である。 2)硝酸ナトリウムを用いた電子線照射の影響観察と軽元素定量分析の検討 電子顕微鏡観察時の電子線照射による試料損傷や揮発の影響を検討するため、環境制御型SEMと従来の高真空SEMでの粒子損傷と軽元素(N,0)の定量制度の検討を行った。環境制御型SEMでは、試料となる粒子周辺に水蒸気が存在することにより、電子線照射による試料の損傷は軽減することができた。EDXによる元素組成分析に関しては、環境制御型SEMでも可能となるが、X線の検出効率が低く分析に時間がかかり、高真空SEMでは短時間(20-30秒)の分析時間であれば効率よく特性X線を検出することができた。環境制御型S脳では、分析に時間がかかるが粒子への損傷は小さいため、分析後の吸湿特性実験に処することが可能である。この実験結果については、修士論文によつてまとめられた。 3)飛来黄砂粒子の潮解に関する実験を熊本大理学部、熊本県立大環境共生学部との共同研究として実施し、表面付着物質が鉱物粒子の含水相対湿度を低くすることがあることを確認した。これらの実験結果については、一部は修士論文としてまとめられ、一部は論文発表準備中である。 4)試料温度の低温化 これまでの使用してきた実験条件では、-20℃までの冷却だったが、-80℃まで冷却ができる冷却装置の調整を始めた。
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