2006 Fiscal Year Annual Research Report
GPS受信機網を用いた地震起源の電離圏変動に関する研究
Project/Area Number |
18654083
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大塚 雄一 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助手 (40314025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 昭則 京都大学, 大学院理学研究科, 助手 (10311739)
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Keywords | GPS / 電離圏 / 地震 / 全電子数 / 伝搬性電離圏擾乱 / 音波 / TID / 波動 |
Research Abstract |
1.国内外で公開されているGPS観測データを収集し、全電子数の算出及びデータベースを作成した。 2.平成19年3月にインドネシアに出張し、パダン及びコトタバンのGPS観測装置の保守及びデータ収集を行った。 3.これまでに、GPSから得られた全電子数データを使うことにより以下の研究成果を得た。 (1)2007年1月13日04時23分UTに千島列島東方の北緯46.1度、東経154.2度においてM8.2の地震が発生した。国土地理院が国内に整備しているGPS受信機網(GEONET)のデータを用いて、地震後の全電子数(Total Electron Content ; TEC)変動を調べた。その結果、地震発生の約30分後の0450-0455UTに、北緯38-42度、東経143-145度において、位相速度970m/sで南西へ伝搬するTEC変動が見られた。TEC変動の振幅は、約0.03TECU(1TECU=10^<16>m^<-2>)であった。このTEC変動は南西方向に伝搬しており、震央から波動が伝搬してきたと考えられる。これらの結果から、このTEC変動は地震に伴って発生した音波が原因と考えられる。 (2)地震の発生頻度が高く、かつGPS受信機が多数設置されている日本及び南カリフォルニアにおけるGPS受信機網のデータを用いて電離圏全電子数(TEC)を算出し、両地域におけるTECの水平二次元構造を明らかにした。2002年のデータを統計解析した結果、中規模伝搬性電離圏擾乱(MSTID)は以下のように三種類に分類されることが明らかになった。(1)冬季の昼間に発生し、南あるは南東方向に伝搬するもの。これら昼間のMSTIDは、中性大気の大気重力波に起因するど考えられる。(2)夏季夜間に発生頻度が高く、南西方向に伝搬するもの。電離圏におけるプラズマ不安定が、MSTIDの発生に関係していると考えられる。(3)夏季の日出没時に発生するMSTID。MSTIDの波面が日没線とほぼ平行なことから、日没時における急激な温度変化によって生じた重力波が原因と考えられる。この日出没時のMSTIDは、GPS観測では本研究によって初めて観測された。
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