2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18654101
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
浜口 智志 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (60301826)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北野 勝久 大阪大学, 大学院工学研究科, 助手 (20379118)
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Keywords | マイクロバブル / ナノバブル / 電気泳動 / 誘電誘導 / 強結合プラズマ / ゼータポテンシャル / 湯川系 / 遮蔽クーロン |
Research Abstract |
1990年初頭の、GratanとCrumによる単泡性音響発光(Single Bubble Sonoluminescence ; SBSL)の発見以来、液体中における極めて微小な気泡と、その内部の気体に関する物理学が大きな注目を集めている。音響発光自体は、かなり以前から知られていたが、それまでは、大量の気泡が制御されないまま、生成と消滅を繰り返す中で発光が観測されていただけであるが、GratanとCrumによって、水中に非線形音波を伝播することで発生する負水圧を利用して、気泡の生成と位置の制御が可能となった。一方、以前からの研究で、水中の微小気泡は、その表面に電荷を帯びていることが知られている。すなわち、液体中の微小気泡は、電気的には、電荷をもつ粒子のようにふるまうが、これらの微小気泡が極めて多数存在するときの、その集団的振る舞いの詳細はほとんど知られていない。したがって、本研究では、液体中、その電荷により相互作用をおこなう気泡の多数の集まりを、ちょうど、多数のイオンが空間にトラップされた強結合(つまり、粒子間の相互作用エネルギーがその運動エネルギーより大きな)状態における一成分プラズマ(one component plasma ; OCP)として考え、巨視的な平衡状態におけるその静的な統計力学的性質(たとえば相転移や空間相関等)および輸送現象(たとえば、自己拡散や粘性等)を、理論・シミュレーションと実験的手法の両方を用いて、解明することを目的とする。平成18年度においては、微小気泡の単体としての物理的特性をあきらかにするために、電気泳動による微小気泡の位置制御の実験を行った。この研究により、水中の微小気泡が、大きさによらずほぼ-30〜-60mVのゼータ電位を持つことが(直径20ミクロンの気泡で、電子300個分程度の電荷)が分かった。また、このような電荷を持つ微粒子は、湯川ポテンシャルを持つ粒子としてモデル化でき、その分子動力学シミュレーションをおこない、動径分布関数などを決定した。
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