2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18655001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
竹内 英夫 東北大学, 大学院薬学研究科, 教授 (30111454)
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Keywords | 顕微ラマン分光 / 細胞 / マイクロチップ / 生体分子 / 構造 / 動的変化 / 薬物 |
Research Abstract |
複雑な系の特定微小部位に焦点を当て、その部位の詳細な構造解析が行える顕微ラマン分光法と、単一の細胞に特定の薬物などを注入し、その後の経過を逐次追跡することが可能なマイクロ流動法を組み合わせ、薬物投与などに伴う細胞内生体分子の動的な構造変化過程を解析するための細胞流動・時間分解顕微ラマン分光法を新たに開発することが、本研究の目的である。この目的を達成するために、本年度は、細胞をマイクロチップ内の溝の中で流動させるための装置を作製し、現有の顕微ラマン分光計に組み込んで、統合されたシステムとしての最適化を以下の手順で行った。1)細胞を溝に沿って滑らかに流動させるためのマイクロチップの設計・製作を行った。2)細胞を圧力(加圧、吸引)によって、マイクロチップの中を流動させ、薬物と効率よく結合させる方式を開発した。この方法は、これまで用いられている電圧印加による流動に比べ、細胞に余分な負荷が掛からず、また、適用できる細胞種の範囲も広い。3)顕微鏡用の高性能対物レンズを購入し、現有の顕微ラマン分光計の感度向上を行った。4)顕微ラマンスペクトルの測定において、深さ方向の位置分解能を上げるために、共焦点方式の利点を最大限に生かすように顕微ラマン分光計に改良を加えた。5)マイクロチップ上の溝の中を移動している細胞内の特定の小器官を顕微鏡下で確実に捕らえるために、XYステージを駆使したシステムを開発した。6)最も扱い易い細胞である赤血球を用いて細胞流動の基礎的な条件検討を行い、細胞内生体分子の動的な構造変化過程を解析するために十分な性能を有する細胞流動・時間分解顕微ラマン分光装置のプロトタイプを作製することに成功した。
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