2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18655008
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
古川 行夫 Waseda University, 理工学術院, 教授 (50156965)
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Keywords | 振動シュタルク効果 / 赤外分光 / 高分子マトリックス |
Research Abstract |
(1)高分子マトリックスを用いた振動シュタルク効果の測定 昨年度に引き続き研究を進めて、PMMAをマトリックス材料として低分子を分散させ、その固体フィルムを半透性アルミニウム電極で挟んだセルを作製し、そのセルをクライオスタットに取り付けて、77Kにおいて赤外スペクトルの外部電場効果(振動シュタルク効果)を測定する方法を確立した.9-シアノアントラセンの測定を精密に行った.無配向試料に関する理論式にしたがい解析を行った.観測されたスペクトルを元の赤外スペクトルとその一次微分スペクトル、二次微分スペクトルで分割し,それぞれの係数を求めた.二次微分係数から、振動基底状態と励起状態間の双極子モーメントの差の絶対値を求めた.得られた値は、CN伸縮振動に関して、9-シアノアントラセンとPMMAの様々な混合比に対して、0.028-0.034D/fであった. (2)合成ポリペプチドの水素結合の振動シュタルク効果 ナイロン66やαヘリックス構造をとるポリペプチドとしてpoly(-benzyl-L-glutamate)(PBLG)とpoly(-benzyl-L-aspartate)(PBLA)の固体フィルムを半透性アルミニウム電極で挟んだセルを作製し、上記の測定法にしたがい、FT-lR差スペクトル測定法を用いて、振動シュタルク効果を測定した.無配向試料に関する理論式にしたがい解析を行い、振動基底状態と励起状態間の双極子モーメントの差の絶対値を求めた.求めた値は、PBLGのNH伸縮振動とアミドl振動で、それぞれ0.12と0.040D/fであった.PBLAのNH伸縮振動とアミドlでは、それぞれ0.24と0.064D/fであった.また、ナイロン66ではPBLGやPBLAの値よりも小さな値が得られており、再現性を検討中である.
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