2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規大環状共役化合物を用いたキラルメモリー、キラルセンサーの構築
Project/Area Number |
18655016
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川瀬 毅 大阪大学, 大学院理学研究科, 助教授 (10201443)
|
Keywords | 分子キラリティー / キラルセンサー / キラルメモリー / 大環状共役化合物 / 機能性分子 / シクロファン |
Research Abstract |
一つのアキラルな化合物がキラルな化合物と錯形成することで分子キラリティーを生じ、それを旋光度トやCDスペクトルの変化として読み取ることができれば、キラルセンサーとして応用可能である。また、キラル分子が外れ、他の分子に置き換わっても分子骨格のキラリティーが保たれていれば、この系は、分子のキラリティーを複写・保存する分子メモリーとして利用することができる。そこで、上記の目的にかなう分子としてビアリールを組み込んだ大環状共役化合物を設計し、新しい骨格を持つ分子からキラルセンサー、キラルメモリーとしての機能性分子を構築することを目的に研究を行った。本年度は、 1)Grubbs試薬が6-ビニルビナフトール誘導体に対して活性が高く、容易にオレフィンメタセシス反応を触媒することを見出したことから、この反応を用いた2,2'-ビナフトールユニットを持つ大環状シクロファン類の合成を検討した。ジメトキシ体はかなり大きな分子量をもつ環状オリゴマーの混合物であったが、ブチレン架橋した出発物からは、4〜6量体がメインとして得られ、ビナフトール酸素上の置換基によって環の大きさを制御できることがわかった。この結果は、オレフィンメタセシス反応が大環状共役化合物の合成にも有用なことを示す重要な成果と考えられる。また、これらの化合物はキラルな空孔をもち、その超分子化学的な性質を検討することが次の課題になるものと考えられる。 2)これまで合成したビフエニロノファン類は、メソ体の方が光学活性体(d/体)より安定であったためその動的挙動をキラルセンサーとして用いることが困難であった。そこで、d/体の方がメソ体より安定なビフェニル骨格をもつ化合物として(2,2)-m, m, m, m-クオーターフェニレノファンジイン誘導体を設計・合成した。来年度はこの分子の光学的性質を調べてゆく計画である。
|
Research Products
(8 results)