2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18655020
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
甲 千寿子 東北大学, 大学院理学研究科, 助手 (10089782)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小俣 乾二 東北大学, 大学院理学研究科, 助手 (70272010)
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Keywords | クラスター / ランタニド / X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
本年度の実施研究計画に基づいて、以下の2種類の巨大ランタニドクラスターについてX線結晶構造解析を行った。 1、キラルなプロピレンジアミン-四酢酸(pdta)を配位子とするランタニド錯体M^+[Ln(pdta)]^-について中心金属(Ln=La,Pr,Sm,Eu,Gd,Dy)および対カチオン(M^+=Na^+,K^+,Cs^+)を変えて系統的に結晶構造解析を行い、対応するM^+[Ln(edta)]^-錯体の結晶構造と比較検討した。pdta錯体では、カルボキシル基を介して3核コアを形成し、さらにカチオンを介して上下に重なった6量体を単位とする構造が主に形成された。結合半径がより小さいGd,Dyでは、edta配位子と同様の結晶構造も形成された。半径がより大きいPrは、これらとは異なる単核2量体構造も形成した。なお、Laは、同条件下ではアルカリ金属イオンを含まない4量体構造のみを形成した。6量体構造は、結晶中ではカチオンを介して2次元平面状に広がった分子集合体を形成する。M=Naでは18量体での環形成であるが、M^+=K^+では36量体での環形成のため中心にかなり大きい空洞が形成されることは包接作用と関連して非常に興味深い。 2、キラルなビス(2-ピリジルメチル-エタンジイルビスアラニンイオン(bpba)を配位子とするランタニド錯体[Ln(bpba)]^+X^-については、結合半径の大きいLa以外は結晶化が困難であった。一方、La金属のハロゲンイオンをCl^-からBr^-に換えた場合2種類の結晶が析出した。いずれもCl^-と同様な18量体クラスターを形成するが結晶系の異なる結晶も析出する。 以上のように、キラルな配位子の錯体は一般に多核錯体を形成し易いが中心金属イオンや対イオンに依って多種多様な集合体を形成することが明らかとなった。
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