2006 Fiscal Year Annual Research Report
ポリペプチドをmolecular scaffoldとする機能性錯体の次元集積化
Project/Area Number |
18655023
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森内 敏之 大阪大学, 大学院工学研究科, 講師 (60281119)
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Keywords | ポリペプチド / ポリグルタミン酸 / 発光性錯体 / 次元集積化 / エナンチオ選択的錯形成 |
Research Abstract |
生体内では、DNAの二重らせん構造やペプチドのα-ヘリックスやβ-シートなどの高次組織化された構造が形成されて、特異的な機能が発現されている。そのような高次組織化された生体分子への機能性錯体の導入は、新規バイオマテリアルやレドックスシステムの開発につながるものとして期待されている。本研究では、不斉構造規制された生体分子の高次構造を"molecular scaffold "として着目し、機能性錯体を次元集積化し、機能物質本来の機能を越えた、または全く別の機能を有する機能性集積型錯体システムを創成することを目的とし、研究を展開した。本年度は、ポリグルタミン酸のα-ヘリックス構造及び側鎖のカルボキシル基におけるアニオン性を活用することで、カチオン性錯体であるトリス(ビピリジン)ルテニウム錯体とのエナンチオ選択的錯形成が可能であることを見出したので報告する。 トリス(ビピリジン)ルテニウム錯体とL体からなるポリグルタミン酸との錯形成をリン酸バッファー中で行ったところ、エナンチオ選択的な錯形成が進行した。アセトニトリルに可溶な成分と不溶な成分に分離し、それぞれのCDスペクトルを測定したところ、不溶な成分にはポリグルタミン酸とルテニウム錯体のΛ体との錯体が、可溶な成分には錯形成していないΔ体のルテニウム錯体が存在することが明らかになった。一方、D体からなるポリグルタミン酸を用いた場合には、ポリグルタミン酸とルテニウム錯体のΔ体とがエナンチオ選択的に錯形成し、可溶な成分にはΛ体のルテニウム錯体が存在していた。以上の如く、ポリグルタミン酸の不斉α-ヘリックス構造および側鎖のアニオン性カルボキシル基を利用することによるトリス(ビピリジン)ルテニウム錯体とのエナンチオ選択的錯形成および光学分割が可能となった。
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