2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18655027
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
喜多村 昇 北海道大学, 大学院理学研究院, 教授 (50134838)
|
Keywords | マイクロチップ / 流体制御 / 電気化学 / フェロセン / 接触角 |
Research Abstract |
スパッタリングにより作製した金電極上にフェロセニル基を有するアルカンチオールの自己組織化単分子膜(FcS-Au-SAM)を修飾した。このFcS-Au-SAM上に過塩素酸水溶液の水滴を滴下し、金電極の電位を制御することにより、SAM中のフェロセニル基の酸化還元を誘起した。その結果、フェロセニル基の酸化状態において水滴/電極間の接触角が低下し、引き続く再還元により接触角が初期状態に戻ることを確認した。さらに、この電気化学的な接触角変化の繰り返し耐久性を検討したところ、最低40回以上の繰り返しが確認された。この高繰り返し性は過去に報告が無いものであり、マイクロチャンネル中においてFcS-Au-SAMの電気化学による流体制御を行う上で極めて良好な結果を得た。 電気化学的な接触角変化の繰り返し性を決定する因子について検討を加えた。その結果、アルキル鎖からなるフェロセン置換アルカンチオールでは高い繰り返しが達成されたが、鎖中にカルボニル基を有するフェロセン置換アルカンチオールのSAMにおいては、数回の繰り返しにより接触角変化が起こらなくなった。両アルカンチオールの詳細な電気化学測定から、カルボニル基を有するアルカンチオールSAMにおいては、フェロセニル基の電気化学分解やSAMの酸化脱離が起こりやすいことが明らかになった。一方、アルキル鎖からのみ構成されるフェロセン修飾アルカンチオールSAMでは、電気化学的な分解やSAMの酸化脱離は殆んど起こらないことがわかった。また、この場合、アルキル鎖長はあまり関係がなく、メチレン鎖数が6や10の場合に電気化学的な接触角変化を示した。
|
Research Products
(7 results)