2006 Fiscal Year Annual Research Report
超分子Gd(III)錯体の自発的形成を用いる高緩和性MRIコントラスト剤の創製
Project/Area Number |
18655028
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
壹岐 伸彦 東北大学, 大学院環境科学研究科, 助教授 (50282108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星野 仁 東北大学, 大学院環境科学研究科, 教授 (20124620)
高橋 透 東北大学, 大学院環境科学研究科, 助手 (30361166)
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Keywords | バイオイメージング / 核磁気共鳴イメージング / Gd(III) / 高緩和性 / 超分子 / チアカリックスアレーン / Tb(III) / Ag(I) |
Research Abstract |
当年度は高緩和性MRIコントラスト剤創製に向け,(1)超分子Gd(III)錯体の自発的形成条件の精査と構造解析,(2)チアカリックスアレーン(TCAS)リンカーの探索を行った. (1)モデルとなるAg-Tb-TCAS系の錯形成条件を検討した.pH6.0で発光性錯体を生成し,ES-MS解析の結果組成をAg_2・Tb_2・TCAS_2と決定した.これは2個のTCASが2個のAg(I)イオンでリンクされたdouble cone型構造をしており,2個のTb(III)は上下のTCASからO,S,O配位を受けている構造であると推定した.発光寿命解析により配位水分子数を2.4と決定した.これは高緩和性の要件の一つ,ランタニド中心に配位水を多数持つことを満足する.次いで同条件下でAg-Gd-TCAS系について錯体の組成を解析した.生成した錯体の組成はAg_3・Gd・TCAS_2となり,Ag_2・Tb_2・TCAS_2のTb(III)サイトの一つをAg(I)で置換した構造であると推定した.Tb(III)とGd(III)とはイオン半径はわずかに0.02Å異なるに過ぎないが,超分子構造形成において高度なイオン半径認識が行われていることがわかる.なお,Ag-Tb-TCAS系ではpH10.0において超分子錯体Ag_2・Tb・TCAS_2を形成したが,Ag-Gd-TCAS系ではAg_3・Gd・TCAS_2とAg_2・Gd_2・TCAS_2とが混在していることがES-MSの結果確かめられた. (2)本検討でもTb(III)をランタニドとして用い,その発光を指標に超分子形成の有無を判断した.Cu(II),Fe(II),Pb(II),Co(II),Ni(II),Mn(II),Zn(II)などの遷移金属イオンはAg(I)を用いた場合に比べ弱い発光を示したが,Cd(II)を用いた場合2倍程度の発光強度を示した.このことからCd(II)もAg_2・Tb_2・TCAS_2におけるAg(I)と同様にTCAS二分子のリンカーとして働くことが判った.
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Research Products
(6 results)