2006 Fiscal Year Annual Research Report
中赤外パルスレーザー光による選択的有機合成化学の創生
Project/Area Number |
18655036
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
普神 敬悟 群馬大学, 工学部, 助手 (90202283)
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Keywords | 中赤外光 / パルスレーザー / 光化学反応 / 有機合成反応 / オキサシクロプロパン / 転位反応 / グリーンケミストリー |
Research Abstract |
エポキシ化合物からアルデヒドヘの転位反応には、通常は強酸条件、高温加熱、あるいはその両方を必要とする、比較的厳しい反応条件が必要である。これに対し、室温で中赤外パルスレーザー光の照射によって対応する転位反応が実施できれば、温和な反応条件と廃棄物の出ない工程が実現できる。 今年度は、各種オキシランに対する赤外パルスレーザー光照射による転位反応の可能性とその問題点の解明を進め、下記の新しい知見を得ることができた。 まず、1-アルケンオキシドの転位反応を検討した。具体的には、プロペンオキシドおよび1-ブテンオキシドに対する、TEA-CO_2レーザーによる984cm^<-1>、1.OJ/pulse、0.75Hz、および916cm^<-1>、0.6J/pulse、0.75Hzの赤外パルスレーザー光の照射による転位反応を試みた。その結果、ともに40分間の照射で対応するアルデヒドに変換できることがわかった。ただし、これらの反応ではいずれも、一酸化炭素の大量副生が認められ、物質量産に適用することは現状の装置では困難であると判断された。 次に、基質を2-ブテンオキシドおよび2-メチル-2-ブテンオキシドに切り替え、一酸化炭素の副生を伴わない転位反応を目指した。この実験では、炭酸ガスレーザーに比べ、フルエンスが約100分の1と低いが、波長帯域がより広範囲で選択可能な、赤外自由電子レーザーによる中赤外パルスレーザー光の利用を検討した。その結果、基質の吸光係数の小さい、984cm^<-1>、および916cm^<-1>の光では、反応は全く誘起できなかったが、吸光係数の大きな、1355cm^<-1>および1373cm^<-1>のレーザー光を照射すれば、それぞれ、対応するアルデヒドヘの転位が効率よく行えることが、明らかとなった。しかも、一酸化炭素は副生しないことが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)