Research Abstract |
アミンの気体試料に対する中赤外パルスレーザー光の照射による,炭素-窒素結合の開裂反応の可能性について追及した。 その結果,赤外レーザー光に対し,高い感受性を示すものと,殆ど感受性を示さないものが存在する,ということが明らかにできた。 すなわち,ジイソプロピルエチルアミンに,波長6.96μmのパルスレーザーを照射すると,これを定量的に消費することができた。また,第二級アミンである,ジイソプロピルアミンに対し,波長8.33μmのパルスレーザーを照射すると,やはり定量的に反応させることができた。 一方,かメチルシクロヘキシルアミン,および,第一級アミンであるシクロヘキシルアミンに対する赤外レーザー照射では,反応の誘起は観測されなかった。また,第三級アミンである,N,N-ジメチルシクロヘキシルアミンに対しても,波長6.96μmのパルスレーザーの照射によって,ごく僅かな反応の誘起が観測されるに留まった。 次年度は,この成果を踏まえ,反応の効率とアミンの構造との相関を明らかにする。アミン類の炭素-窒素結合を開裂させるには,これを強塩基の共存下で一旦ヨウ化メチル等の有機ハロゲン化物によって処理し,対応する第四級アンモニウム塩に誘導し,その後,強塩基で処理する,ホフマン分解が最も有効な合成手法である。 これに対し,今回見出した結果は,このような四級化処理を必要とせずに,基質を直接反応させることを可能にしたものであり,赤外パルスレーザー光誘起型有機合成反応独自の化学変換形式の発見として,今後その実用への展開に期待が持たれる。
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