2006 Fiscal Year Annual Research Report
動的速度論的分割を利用した窒素上キラル光学活性四級アンモニウム塩の合成と性質
Project/Area Number |
18655038
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
村井 利昭 岐阜大学, 工学部, 教授 (70166239)
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Keywords | キラル分子ツール / セレノリン酸誘導体 / 光学活性アルキル化剤 / ^<31>P NMR / ^<77>Se NMR |
Research Abstract |
本研究では、中心性キラリティーを有する準キラルな四級アンモニウム塩に着目し、新しい概念に基づく、高エナンチオ選択的、高ジアステレオ選択的合成法の開発と得られた塩の配座について詳細に検討してきた。一般に三つの異なる炭素官能基を有する鎖状の三級アミンは、たとえ光学活性体を得たとしても、窒素上での反転が容易に起こり、ラセミ化生成物を与える。そこでこの三級アミンが容易に反転する性質を利用した光学活性四級アンモニム塩の合成法を開拓する。この系を達成させるためには、高い鏡像異性体の区別を行うことができる光学活性メチル化剤さらにはアルキル剤の開発が最も鍵となる。 そこでこれまで研究代表者が初めて合成に成功したビナフチルを有するセレノリン酸塩化物(BISEPC1)をキラル分子ツールとして、アルキル化剤の開発を行った。すなわちBISEPC1に対して水存在下、トリエチルアミンとの反応から、セレノリン酸三級アンモニウム塩を調製した。アンモニウム塩の生成はX線構造解析により行った。また塩を様々なアルキル化剤と反応させることで、セレン原子上がアルキル化された生成物を得た。この反応の反応時間は、アルキル化剤の種類に依存し、一級アルキル化剤では速やかに進行したが、二級アルキル化剤の場合、過剰量を長時間反応させる必要があった。 ここで得られたエステルは、ビナフチル軸とアルキル基が有するキラル炭素のため、ジアステレオマーとして存在していた。それらは、^<31>Pおよび^<77>SeNMRスペクトルにより、識別することができた。またジアステレオマーを再結晶あるいは、HPLCによる分離で、高い光学純度を有する誘導体として単離した。 ついでこのエステルのアルキル基部分を切り出すために、その反応性を検討していたところ、フッ化物イオンはリン原子上に攻撃し、P-Seおよび二つのP-O結合の切断を引き起こし、光学活性ジセレニドを与えることがわかった。 今後、表題の目的達成のために、上記エステルとアミンとの反応で、C-Se結合の切断を選択的に引き起こす系の確立をめざす。
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Research Products
(2 results)