2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18655045
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宇山 浩 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (70203594)
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Keywords | 形状記憶材料 / セミIPN / 油脂 / ネットワークポリマー / エポキシ化大豆油 / ポリ乳酸 |
Research Abstract |
本研究では植物油脂と生分解性ポリエステルとの複合化により新規グリーンポリマーの開発を行った。具体的には油脂成分に天然物由来のエポキシ化大豆油(ESO)を選択し、生分解性ポリエステル存在下に架橋反応を行い、semi-IPN構造を有するハイブリッド材料を合成し、形状記憶特性を調べた。生分解性ポリエステルとしては、ポリ乳酸(PLLA)を用いた。まず、PLLA存在下、少量のカチオン性熱潜在性開始剤を添加し熱処理を行ったところ、ESOの架橋反応が進行し、油脂ネットワーク中にPLLA分子が分散したハイブリッド材料が得られた。生成物の動的粘弾性測定を行ったところ、油脂単独硬化物では-10℃付近にESOのガラス転移に由来する転移が観察された。一方、PLLAを添加した系では70℃付近にも相転移が見られた。これはPLLAのガラス転移に由来するものと考えられる。以上の結果はESOとPLLAが一部ミクロ相分離していることを示唆している。PLLA添加系では油脂単独硬化物と比較し常温領域で貯蔵弾性率が上昇しており、さらにtanδ曲線よりESOのガラス転移によるエネルギー損失も著しく減少していることがわかった。また、PLLAの融点である170℃以上でも比較的高い貯蔵弾性率を示しており、耐熱性も保持されていることが確認された。 次に形状記憶特性を調べた。まず、コイル状(Permanent Shape)のESO/PLLA(50/50wt%)ハイブリッド材料を合成し、PLLAのガラス転移温度以上(100℃)で変形させた後、急冷するとその形状(Temporary Shape)が保持された。その後、再び加熱するとPermanent Shapeに形状が復元することがわかった。以上の結果は本ハイブリッド材料が良好な形状記憶性を有していることを示唆している。また、ESO/PLLA(75/25wt%)については同様に形状記憶特性を示したが、ESO/PLLA(25/75wt%)では変形後の形状が固定されないことがわかった。本材料はポリマーを複合化することにより形状記憶性を示す新しいタイプの形状記憶高分子材料であると考えられる。
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Research Products
(5 results)