2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヘリックス構造性高分子をホストとする一次元超構造体の創製
Project/Area Number |
18655048
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
新海 征治 九州大学, 工学研究院, 教授 (20038045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐田 和己 九州大学, 工学研究院, 助教授 (80225911)
竹内 正之 九州大学, 工学研究院, 助手 (70264083)
藤田 典史 九州大学, 工学研究院, 助手 (10346819)
沼田 宗典 九州大学, 工学研究院, 研究員 (70423564)
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Keywords | 多糖 / 金ナノ粒子 / ナノワイヤー / カルボラン / 中性子補足療法 |
Research Abstract |
β-1,3-グルカン構造を基本単位とする天然多糖(シゾフィラン、カードランなど)は、水中で三本鎖から成るヘリックス構造を取るが、DMSO中では一本鎖に解離する。一方、このDMSO溶液を水で希釈すると、水中では三本鎖から成るヘリックスが再生することが知られている。我々は、この再生過程にある種のDNA やRNAが共存すると、両者の高次構造の相補性が原因となり、ヘテロな三本鎖から成る複合体を形成することを見い出した。この発見は、多糖が無毒であることから、β-1,3-グルカンが極めて有効な遺伝子キャリヤーとして機能することを示唆する。実際、細胞接着因子であるRGDペプチドや膜透過性のオリゴアルギニンを修飾したβ-1,3-グルカンがアンチセンスやCpG-DNAの効果的なキャリヤーとして機能することが実証されている。この特徴的なヘリックス構造性を持つβ-1,3-グルカン類の最安定構造を理論計算により評価する過程で、我々はヘリックス構造の内部に約0.3nmの一次元空孔が存在することに気付いた。この空孔は疎水性かつキラルであることが容易に想像されるので、シクロデキストリンが一次元に連絡した構造がイメージされる。更に一本鎖と三本鎖が可逆的に変換されるので、この一次元空孔は"開環"-"閉鎖"の可逆性の昨日も有することになる。これらの特徴を利用すると、この一次元空孔は種々の機能性パーティクルや高分子を一次元配列するための"ホスト"として機能することが期待される。この作業仮設を出発点として、本研究ではβ-1,3-グルカン類が形成する一次元空孔内に、(1)ナノ粒子、(2)導電性高分子などを配列制御し、また(3)立体規則性重合を誘起する鋳型として応用することを目的として研究を展開している。 シゾフィランの1次元疎水空間に金ナノ粒子が取り込まれ、ナノ粒子の1次元アレーが作成できることを既に報告している。本年はこのシゾフィラン/金ナノ粒子の1次元アレーを出発原料とし、粒子間の融合を行い金ナノワイヤーの創製を試みた。期待した通り、金ナノ粒子が予備組織化した複合体の水溶液にレーザーを照射する事によりナノ粒子間の融合が起こり、ワーやー構造に成型できることが明らかとなった。さらに、ナノ粒子の1次元アレー作成をヒントにホウ素クラスターであるカルボランの1次元アレー作成についても検討を行った。その結果、疎水性のカルボランがシゾフィランの一次元空間に取り込まれる事により水溶化できることが明らかとなった。細胞指向性部位を導入した複合体を用いて、今後中性子補足治療などへの応用研究を検討していく予定である。
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