2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18655049
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
村越 敬 北海道大学, 大学院理学研究院, 教授 (40241301)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木口 学 北海道大学, 大学院理学研究院, 講師 (70313020)
並河 英紀 北海道大学, 大学院理学研究院, 助手 (30372262)
|
Keywords | 1分子計測 / 走査プローブ顕微鏡 / ナノコンタクト / 表面増強ラマン / 光物性 / 表面プラズモン / 局所光電場 / 固液界面 |
Research Abstract |
金属微小構造体より構築される極微小空間に形成される局所光電場を利用した表面増強ラマン散乱(SERS)による単一分子の直接的観測ならびに金属表面における動的な拡散挙動を検討した。自己組織的に配列させたポリスチレンビーズをテンプレートとしてガラス基板上へ金属を傾斜蒸着することで、二つの金属微小構造体を近接して配置させたダイマー構造を構築した。その際のギャップ間隔はナノメートルオーダーにて制御可能であった。このギャップ近傍へ2,2 '-bipyridine(22bpy)及び4,4 '-bipyridine(44bpy)分子を吸着させた後、顕微ラマン分光装置にてラマン散乱スペクトルの経時観察を行なったところ、100μMの混合水溶液中ではどちらか1成分のスペクトルのみが観測されることがあった。この濃度領域では44bpy分子がほぼ飽和吸着していることが報告されており、その様な状況下22bpy1成分のみが観測されたことから、hot siteのサイズは電磁気学的に予想されているギャップ間隙よりもはるかに小さく、分子に匹敵するサイズであることが明らかとなった。さらに非飽和吸着の濃度領域である1μMの混合水溶液中では、両者のスペクトルが瞬間的に入れ替わる挙動が観察された。表面被覆率を制御した実験によって、本現象は2個以上複数の分子が同時に入れ替わったとは考えられず、単一分子からのシグナルを検知していたものと結論付けられた。これまで、固体基板上に設計された金属微小構造体から単一分子由来のシグナルを観察した直接的証拠を示した研究例はなく、以上の結果は電磁気学的理論で予測されている局所電場によるラマン増強効果に加えて原子サイズの化学的増強サイトが存在することを示したものである。本現象を利用することで、単一分子レベルでの感度を有する高感度分子検出システムの構築が可能となった。
|
Research Products
(6 results)