2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナノダイヤモンド粒子の表面化学修飾と特異な界面電子・磁気現象の発現
Project/Area Number |
18655053
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
榎 敏明 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 教授 (10113424)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福井 賢一 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助教授 (60262143)
高井 和之 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助手 (80334514)
|
Keywords | ナノダイヤモンド / 表面再構成 / ダングリングボンド / 表面水素終端 / 反強磁性 / 水熱処理 / 磁性 / 構造揺らぎ |
Research Abstract |
(1)ナノダイヤモンドの磁性不純物除去と水熱処理による表面水素終端の実験を行った。爆縮法により作成されたナノダイヤモンド粒子は種々の磁性金属不純物を含んでおり、その除去が機能発現に重要である。濃塩酸、濃硝酸、王水を用いて、乾留を行い、金属不純物の除去を行った。その結果をICPと磁化測定により調べ、全2者では十分な金属不純物除去はできないが、王水を用いた条件下では磁性不純物は観測限界以下となることが明らかとなった。得られた純粋ナノダイヤモンド粒子を650℃、100MPaの条件下で水熱処理を、(a)中性水溶液(処理時間12時間まで)、(b)塩基性水溶液(NaOH)、(c)水素化触媒(Zn)存在下で行った。この結果をIRスペクトルのCH伸縮振動強度から調べ、塩基性条件下、或いは、触媒存在下では表面炭素原子の水素化はより促進されることが明らかとなった。中性条件下での水熱処理においては、9時間までの処理では、処理時間の増加にしたがって、ナノダイヤモンド表面炭素の水素終端量は増加し、それ以上の処理時間では頭打ちとなることが明らかとなった。このことは、ナノダイヤモンド粒子表面のグラファイト表面層を水熱処理しても表面炭素原子を完全に水素化することは難しいことを示唆している。また、このような不完全な水素終端はナノダイヤモンド表面の構造不安定性とも関係しており、水素化の条件は、表面再構成と水素終端との競合で決まっているものと思われる。 (2)不完全水素終端ナノダイヤモンド表面にはダングリングボンド集団が存在し、その局在スピン同士が強い反強磁性相互作用で結合していることが明らかとなった。ダングリングボンドスピンの磁化過程を調べた結果、2.5T付近にヒステリシスが存在することが明らかとなった。これは、構造不安定性に起因する構造的揺らぎとスピンの反強磁性揺らぎの競合が原因しているものと思われる。
|