2006 Fiscal Year Annual Research Report
酸化酵素を規範とした超分子錯体を用いる小アルカン分子酸化触媒反応
Project/Area Number |
18655072
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
成田 吉徳 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (00108979)
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Keywords | アルカン / 選択的酸化 / 超分子化学 / 分子認識 |
Research Abstract |
(1)安定な金属キャビタンドポルフィリン(MCP)錯体の合成と小アルカン分子取り込み ポルフィリンに金属挿入することによりポルフィリン構造が堅固になることが予想されるため、反磁性金属種Zn(II),Ni(II),Pd(II)等の金属誘導体に対して炭化水素分子取り込みに対する効果を評価した。その結果、軸配位子を持たないNi(II),Pd(II)誘導体では、フリーベース体と類似の取り込み挙動とその熱力学的パラメーターが得られた。一方、Zn(II)錯体ではキャビティー内で水などの配位性分子が配位した5配位錯体となり、水分子がゲスト分子の取り込みを立体的に阻害して取り込みが競争的になることが明らかとなった。 (2)自己集合型キャビタンドポルフィリンへの中サイズのアルカン、芳香族化合物の取り込み 共有結合型のCPにおいてはキャビティーサイズに制約があるため、取り込みが可能なアルカンはシクロプロパン迄に限定されていた。対象基質分子を拡張するため、新たに分子間で4個の水素結合を利用して自己集合体を形成することが期待できるキャビタンドポルフィリン系としてキャビタンドテトラカルボン酸(CA)とmeso-テトラ(2-ピリジル)ポルフィリン(PyP)の組み合わせを選んだ。予め、分子力場計算により4個の水素結合が適正に行えるように設計した。溶液中ではCA-PyPよりなる1:1錯体が強固に形成されることがNMRより明らかにした。次いで、アルカンを含む各種ゲスト分子の取り込みを評価したところ、共有結合型のCAより大きい分子(例えば、イソブタン)まで取り込めることが明らかとなった。ゲスト分子取り込み実験中においても、CA-PyPは解離していず、可逆的にゲスト分子の包摂、解離を起こす。これより、ゲスト分子のキャビティーへの出入りの際には幾つかの水素結合が切れるか、あるいは大きく緩むことを示唆している。
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Research Products
(2 results)