2007 Fiscal Year Annual Research Report
白金抗ガン剤とマクロ環型キャリアからなる分子送達システムの開発
Project/Area Number |
18655074
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
林田 修 Kyushu University, 先導物質化学研究所, 准教授 (20231532)
|
Keywords | ホスト・ゲスト / デリバリー / 白金抗ガン剤 / 分子認識 / シクロファン |
Research Abstract |
シスプラチンなどの白金抗ガン剤はアスベストなどによるガンの治療に広く用いられている。しかしながら、白金抗ガン剤は腎毒性に代表される副作用があるため、必要な部位に、必要な時に、必要な量だけ送達できる高精度ターゲティング治療に対する関心が急速に高まっている。そこで、「超分子化学によるタンパク質へのゲストデリバリー&部位特異的化学修飾法」を応用した新たなゲスト(白金抗ガン剤)送達システムの開発に着手した。今年度の具体的な研究成果を以下に示す。 シクロファン骨格を2つ、3つ、5つ連結した多環性マクロ環型キャリアを合成した。既に合成に成功した2環性マクロ環型キャリアおよび5環性マクロ環型キャリアをリード化合物として、合成法と精製法の改良を検討することで、種々の多環性マクロ環型キャリアをグラムスケールで大量合成することにも成功した。また、シクロファン数が多いオリゴマー型ホストについても合成を拡張した。さらに、合成した多環性マクロ環型キャリアの疎水性ゲストに対する結合親和性も評価した。白金錯体に対するモデルゲストとして蛍光性ゲストを用いて、ゲスト捕捉能を蛍光滴定実験から評価した。シクロファン骨格が増えるに従って、ゲスト捕捉能が飛躍的に向上するクラスター効果の発現が観測された。さらに、アニオン性部位を分子外部に集積した多環性マクロ環型キャリアは塩基性タンパク質と特異的結合することも見出した。特定部位へゲストを送達できる可能性が示された。
|