2008 Fiscal Year Annual Research Report
白金抗ガン剤とマクロ環型キャリアからなる分子送達システムの開発
Project/Area Number |
18655074
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
林田 修 Kyushu University, 先導物質化学研究所, 准教授 (20231532)
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Keywords | ホストゲスト / デリバリー / 白金抗ガン剤 / 分子認識 / シクロファン |
Research Abstract |
シスプラチンなどの白金抗ガン剤はアスベストなどによるガンの治療に広く用いられている。しかしながら、白金抗ガン剤は腎毒性に代表される副作用があるため、必要な部位に、必要な時に、必要な量だけ送達できる高精度ターゲティング治療に対する関心が急速に高まっている。そこで、「超分子化学によるタンパク質へのゲストデリバリー&部位特異的化学修飾法」を応用したゲスト(白金抗ガン剤)ゲストデリバリーが可能なホストキャリアの開発を行った。主な研究成果は以下のとおりである。 1.シクロファンオリゴマーの合成 ゲストデリバリーが可能なホストキャリアとして、シクロファン骨格を17個連結したシクロファンオリゴマーを合成した。既に合成に成功した2環性マクロ環型キャリアおよび5環性マクロ環型キャリアをリード化合物として、合成法と精製法の改良を行い、種々のシクロファンオリゴマーをグラムスケールで大量合成した。あわせて側鎖としてターゲティングに関わる認識部位としてガラクトースやグルコース末端を有する糖鎖を導入した。 2.ゲスト(白金抗ガン剤)との結合能の評価 合成したシクロファンオリゴマーを用いて、ゲスト(白金抗ガン剤のモデル)との結合能を表面プラズモン共鳴法により評価した。特に、結合と解離過程の速度定数、ならびに結合定数(K)を算出し比較検討した。多環性マクロ環型キャリアのゲスト結合部位の数とKの相関を明らかにした。多環性マクロ環型キャリアのゲスト結合部位の数が増加するにつれてゲストとの結合能が飛躍的に(桁違いに)向上するクラスター効果の発現を認めた。さらに、ゲスト結合部位が2倍、5倍になっただけでなぜKが桁違いに増大するのかというクラスター効果の本質解明に関して、シクロファン骨格の集積による微視的環境が重要であるという結果を得た。
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