2006 Fiscal Year Annual Research Report
可溶性の化学修飾カーボンナノチューブと高分子の複合材料の開発と物性評価
Project/Area Number |
18655094
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
松生 勝 奈良女子大学, 大学院・人間文化研究科, 教授 (80091841)
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Keywords | 多層カーボンナノチューブ / 高分子 / ゲル-結晶化法 / 分散 / デカリン / 臨界濃度 / 電気伝導度 / 誘電率 |
Research Abstract |
現在の技術で構造欠陥のない単層カーボンナノチューブ(SCNT)や多層カーボンナノチューブ(MWNT)の開発は、極めて困難である以上、本研究では、できるだけ表面における構造の乱れの少ないMWNTを高分子に分散して機能性素材の開発を行う。得られる素材は極めて軽量なため、金属ほどの導電性はなくても産業用資材としては、貴重である。 MWNTのポリエチレン(PE)への分散は乏しいことが報告されているが、これは溶融PEに分散させる混練法が通常用いられているからで、ゲル-結晶化法では、PEの結晶化がCNTの表面で生じCNT分散が極めて容易であることが確認されている。PEに分散されたMWNTのすべてがPEによって被覆されて径は太くなり、MWNTの表面で結晶化がおこり、それが成長することが理解できる。しかしこの溶液はデカリンやキシレンでの結晶化現象で、パラフィン中では、PEはMWNTの表面上で結晶化することはなかった。またデカリンで作成した試料も150℃以上でPEを融解させると再結晶はMWNTで生じなかった。電気伝導度は熱処理により急激に上昇した。そこで、この方法により、色々なMWNTの濃度を持つ複合材料を作成し、誘電分散の周波数依存性を求め、その逆数であるM‘とM"をプロットした。そしてその関係が半円状からずれるのがMWNTの臨界濃度であることを見いだした。その解析によると、臨界濃度以下ではMWNT相互の重なりがある箇所とない箇所が存在し、臨界濃度以上では、相互の重なり合いがある箇所のみとなることが判明した。これは論会濃度以上で電気伝導度が急速に上昇することを証明するものである。
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