2008 Fiscal Year Annual Research Report
可溶性の化学修飾カーボンナノチューブと高分子の複合材料の開発と物性評価
Project/Area Number |
18655094
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
松生 勝 Nara Women's University, 大学院・人間文化研究科, 教授 (80091841)
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Keywords | 可溶性カーボンナノチューブ / 高分子マトリックス / ゲルー結晶化法 / ニッケルメッキ / 炭素織維 / オームの法則 / 表面温度 / 保温性衣服 |
Research Abstract |
本研究の目的はカーボンナノチューブ(CNT)に対する過度な期待を払拭し、可溶性の化学修飾CNTや表面に金属メッキを施したCNTをゲルー結晶化法によって高分子マトリックスに分散させ、機能性高分子複合材料を開発するとともに、その物性を基礎的立場で追跡する。このような視点での報告例はなく、新しい発想に基づく研究推進として研究を遂行した。 具体的には、MWCNTの表面での化学修飾により機能性を付与し、これを高分子に分散して機能性素材の開発をおこなったが、CNTの直径が小さすぎて、前年度と同様にうまくメッキができなかった。このため世界での研究成功例を詳細に索引したが、どの研究もメツキが一様になされていないことが判明した。そこで、可溶性CNTとニッケルメッキした炭素繊維をポリビニルアルコール(PVA)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、エチレンメチルメタクリレート(EMMA)、ポリイミド(PI)に分散させて乾燥ゲルフイルムを作成した。分散の方法はそれぞれの高分子に最適な方法を選択した。複合材料に電荷を負荷すると、低電圧の負荷においては、電流はオームの法則に従ったが、電圧の上昇と共に、電流値が高くなって、オームの法則からずれてくる。この要因はニッケル層間の電子のホッピングやニッケル間に挟まれた薄膜高分子中を通過するトンネル効果に起因すると考えられる。ポリイミドを媒体にした場合は表面温度が1000℃で安定な発熱体となった。なお、UHMWPE-EMMAをマトリックスとした場合は保温性衣服の開発の基礎研究にもなり、UHMWPE-EMMA発熱体の柔軟性のために、衣服の中にこれを取り込んで、従来にない着心地のよいジャケットは開発できた。この内容は2008年5月29日の日刊工業新聞に掲載された。
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