2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18655095
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
伊原 博隆 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (10151648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高藤 誠 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (50332086)
真下 茂 熊本大学, 衝撃・極限環境センター, 助教授 (90128314)
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Keywords | 重力場 / 傾斜構造 / 立体特異反応 / ナノ材料 |
Research Abstract |
近年,超高圧,超高温,超強磁場など極限状態を利用した研究が盛んに進められている。我々のグループではこれまで100万Gレベルの重力を発生することのできる装置を用いた新規材料の開発に取り組んで来た。超重力場では,重力方向への原子の強い沈降現象を誘起し,原子レベルでの傾斜構造の制御,分子配向材料の作製,特異的な化学反応の誘起,高精度な分離などが期待される。本研究では,超重力場を利用した傾斜材料の作製を目的とし,下記のような研究を計画・実施中である。 1.共重合による傾斜構造の確認 各種アクリレートとハロゲン化スチレンの共重合を、メガGレベルを含み、様々な重力場中で実施した結果、重合率が90%以上の固体を得ることができ、ハロゲン原子の分布状態が連続的に傾斜した構造体が得られることを電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)により確認した。傾斜度は、ハロゲンが臭素であるときに明瞭に確認され、傾斜度は低下するものの塩素化スチレンにおいても同様に確認されたが、無置換のスチレンではほとんど傾斜しないことが明らかになった。 2.イオン輸送による傾斜構造化の確認 ポリアクリル酸から各種のアルカリ金属塩を作製し、これら2成分からなる今後物に対して、重力場においてアルカリ金属の重力方向に対する輸送現象が生じるかどうかを調査した。その結果、カリウム塩においては明瞭な輸送(重力場方向に対する濃縮)が確認された。なお、ナトリウムイオンにおいてはそれほど明確な傾斜化が確認されないことから、アルカリ金属イオンの原子量が輸送速度に影響していることが示唆された。 3.付加反応による立体特異反応の確認 ケイ皮酸エステルとプロモトリクロロメタンとのラジカル付加反応をメガG重力場で行い、反応生成物をHPLC-NMRにより構造解析したところ、1Gレベルでは生成しない立体特異反応が確認された。
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