2006 Fiscal Year Annual Research Report
有機分子が配位した希土類化合物の分子メモリへの応用
Project/Area Number |
18656005
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
秋本 克洋 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 教授 (90251040)
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Keywords | 希土類 / 有機分子配位子 / 配位化合物 / 発光 / メモリ / 光記録 |
Research Abstract |
光照射により電気伝導性が高まる有機分子配位希土類化合物として希土類イオンにEu、配位子に(hfa)および(TPPO)をベース材料に用いる。ここでhfaはhexafluoroacetylacetonato、TPPOはtriphenylphospineの略である。 Eu錯体、Eu(hfa)_3(TPPO)_2は(hfa)_3が3配位、(TPPO)_2が2配位した特異な配位化合物である。対称性の低さから発光効率が高められたと理解されている。400nm以下の波長の光の照射でEuのf-f遷移に起因する赤色(622nm)の強い発光が得られた。 発光時と非発光時の電気的性質に大きな差が得られるよう発光強度を上げる試みを行なった。また、化合物の薄膜化、膜厚制御、電子照射効果を調べた。 作成法に関しては、還流の条件で収率が大きく変化するため還流条件の最適化を行なった。薄膜化は、Eu(hfa)_3(TPPO)_2をPMMAに分散しスピンコートすることで得られ、フレキシブルなプラスチック基板に薄膜を作製することに成功した。発光強度の配位子効果を検討した。まず中性配位子をH_2OとTPPOとで比較するとTPPOのほうが6倍以上発光強度が強くなる。配位子結合の強さ、立体障害効果による歪(対称性の低下)が利いていると考えられる。アニオン配位子をアセチルアセトン(acac)、トリフルオロアセトン(tfa)、ヘキサフルオロアセトン(hfa)と変化させるとこの順番で発光強度が低下した。これらの三重項レベルはこの順番に低くなっており、バックトランスファーが利いていることが伺える。発光強度を高める重要な指針は三重項レベルが高い配位子を選択することが重要であることがわかった。光照射のオン、オフ状態での電気的性質は測定開始しており、今後これらの性質を明らかにする。
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