2006 Fiscal Year Annual Research Report
金属表面におけるオージェ中性化過程を利用した単一電子放射源に関する基礎研究
Project/Area Number |
18656014
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
小林 中 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 助教授 (30271373)
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Keywords | 電子放射 / オージェ中性化 / トンネルギャップ |
Research Abstract |
本研究の目的は、こちらが意図した任意のタイミングで物質から単一電子を真空領域に取り出す方法を提案すると同時に、実験装置を設計・製作して実際にそのようなことが可能であることを実験的に確認することである。そこで平成18年度は、(1)単一電子放射源装置の製作と、(2)その装置を用いたギャップ領域からのオージェ電子放出の検出に取り組む計画で研究を進め、以下の結果を得た。 電子放射源装置を構成するSTM構造部分と放射された電子を引き出す電極構造部分を含む機械加工の製作作業は、平成18年12月までに全て完了した。これらSTM構造部分と電子引き出し電極構造部分を真空チャンバー内に設置後、STM構造部において探針と金属基板との間のギャップ長を制御するコントローラー(研究室に現有)を作動させたところ、ギャップ長を安定してナノメートル領域まで近づけることが出来なかった。試作1号機では、製作がより簡便であるバイトンスタック方式(バイトンゴムの積層構造)を採用したが、STM構造部分の除振が十分に機能していないことが原因であると考えられるので、機構は複雑になるがより除振効果を期待出来るバネ吊り方式に変更するための改良を進めている段階である。予備実験では、この改良型試作機で試作1号機を上回る除振効果が達成出来ていることが確認された。但し、さらに安定的にギャップ長を制御するためには、バネ定数を始めとする真空内構造物の更なる最適化が必要である。
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Research Products
(1 results)