2006 Fiscal Year Annual Research Report
疑似ランダム符号を用いたパルスシェーピング多焦点CARS顕微鏡
Project/Area Number |
18656019
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
橋本 守 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助教授 (70237949)
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Keywords | 可視化 / 非線形光学 / 量子制御 / レーザー顕微鏡 |
Research Abstract |
生きたままの生体組織・細胞を構成する分子ならびにその機能を観測する"分子イメージング"技術は,ポストゲノム研究において必要不可欠な研究ツールとなる.CARS(コヒーレントアンチストークスラマン散乱)顕微鏡は,全ての分子が持つ分子振動を観測することにより,無染色に分子種ならび分子構造情報を得ることができ,また非線形光学効果による回折限界を超えた空間分解能と誘導放出過程による高い感度を備えた観測手段である.本研究では,より高速に,細胞内の分子分布を無染色顕微観測することを目指して,擬似ランダム符号を利用したパルスシェーピング多焦点CARS顕微鏡を開発する. 回折格子,凹面鏡,SLM(浜松ホトニクス:X8267-790C 既存)から構成されるパルスシェーパーを構築し,相互相関計ならびに自己相関計によりパルス波形が観測できる環境を整えた.また,このパルスシェープした光によってTHzの発生実験を行った.THzは多モード発振している超短パルスレーザーのモード間のダウンコンバージョンによって発生すると考えることができ,パルスシェーピングによって,特定周波数領域のTHz波の増強・抑制が期待できる.これは,CARS顕微鏡において,超短パルスレーザー光によって,特定の分子振動の励起を増強・抑制することに対応する.パルスシェーピングすることにより,発生されるTHz波の波形が変化し,特定の周波数領域のTHz波が抑制されていることを確認した.今後,擬似ランダム符号化の効果等について検討し,CARS顕微鏡の構築へとつなげる.
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