2006 Fiscal Year Annual Research Report
運動するフォトニック結晶と光および物質との相互作用
Project/Area Number |
18656022
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
落合 哲行 独立行政法人物質・材料研究機構, 量子ドットセンター, 主任研究員 (80399386)
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Keywords | フォトニック結晶 / 放射力 / 摩擦 / ラマン散乱 |
Research Abstract |
フォトニック結晶は誘電率の異なる物質からなる人工周期構造であり、光の禁制帯の出現や、負の屈折、非線形光学応答の増強といった豊富な物理現象を引き起こす。またそれら物理現象は波長変換素子や高効率のLEDなど、幾多の新奇な光電子デバイスの実現を可能にする。本研究では、基礎と応用の両面から興味をもたれているフォトニック結晶の新たな可能性を探るべく、運動するフォトニック結晶と光および物質との相互作用を理論的に調べる。具体的には、フォトニック結晶の全体が一様に等速で運動する場合と、その構成要素の一部が高速に振動している場合を想定している。前者の場合、運動の速度は非相対論的なものに限られるため、retardationを無視した近似を第ゼロ近似として採用するのが妥当である。この近似のもと今年度はまず、フォトニック結晶のそばに静止した荷電粒子がある場合の応答を定式化した。また離散双極子近似のもとフォトニック結晶の近くに静止した誘電体に対するフォトニック結晶の応答を調べている。また後者の場合は、retardationをとりいれた定式化が必要であり、その応答において重要な働きをする電磁場のグリーン関数や局所状態密度について計算する手法を整備した。また振動によって引き起こされるラマン散乱の理論を定式化し、3次元フォトニック結晶の例であるコロイド結晶について具体的な数値解析をおこなった。この場合、擬ギャップ端や、平坦なバンドが存在する周波数域にレイリー光やラマン光がある場合に、非常に顕著なラマン散乱の増強効果が現れることを見出した。今後は前者について量子電磁気学的な摩擦効果を定量的に解析するとともに、後者については更に具体的な振動について解析を進める予定である。
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Research Products
(4 results)