2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18656029
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西村 直志 京都大学, 情報学研究科, 教授 (90127118)
|
Keywords | 多重極法 / 時間域 / 異方性 / 弾性波動 / 高速解法 |
Research Abstract |
本年度は異方性弾性体の基本解の平面波展開を求め、これを用いて、基本解が多重極展開や局所展開できることを示した。また,その数値的特性を数値実験で検証した。具体的には、異方性弾性体の因果律を満たす基本解と反因果律を満たす基本解との差が平面波展開を有することを利用して、基本解の多重極展開を求めた。異方性弾性体の場合、平面波の波速を求めるために固有値計算を行う必要があるが、3x3行列に対するものであるので、その計算量はごく小さい。次に、多重極モーメントや局所展開係数、M2L公式などを誘導し、多重極法の基礎的な道具を準備した。これらの結果を検証し、その数値的特性を理解するために数値実験を行った。具体的には、先ず,精度を検証できる等方性の場合を取り扱い,多重極モーメント、M2L、局所展開の手続きを踏んで求めた基本解と解析解を比較した。この結果,良好な一致が得られた。次に異方性の場合について、基本解の計算を積分表示に基づいて直接行ったものと、多重極法に基づいたもので比較した。材料定数としては,表面弾性波素子として用いられる圧電材料のものを用いた。この結果,やはり良好な一致を得る事ができた。以上のように,多重極法を実施するための基本的な道具が揃い,その精度に関する基本的な検討が終了した。今後直接計算部分を開発し,更には既開発の等方性の時間域多重極コードとの結合を行う必要がある。また,平面波展開に含まれる単位球面上の積分における数値積分点の分布が,単位球の頂点付近に集中しすぎる傾向があり,この点の改善が次年度の課題となった。
|