2006 Fiscal Year Annual Research Report
整数制約問題等の偏差分方程式化による数値解析に基づく求解アルゴリズム
Project/Area Number |
18656030
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
降籏 大介 大阪大学, サイバーメディアセンター, 助教授 (80242014)
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Keywords | 離散問題 / 整数制約問題 / グラフ / アルゴリズム / ペナルティ法 / 非線型偏微分方程式 / 離散変分法 / 数値解析 |
Research Abstract |
本年度の目的は,整数制約問題等の偏差分方程式化による数値解析に基づく求解アルゴリズムを構成するという方法論自身の性質の調査,数学的な定式化および可能性の模索と,適用が可能な離散数学問題の対象のさらなる発見であった.そのため,まず,最も重要であると思われるグラフ上の共役作用素の数学的性質について,精密な評価および定式化を試みた.グラフは連続空間上の理論と異なり,定式化だけでも様々なバリエーションが存在しうるためなにをもって適切とするかが重要であり,慎重な議論が必要であったが,擬ゼロ次正規グラフという概念を新たに定義,導入することにより部分積分公式を数種類導出することに成功した.また,この公式とラプラシアンの積分による定義を組み合わせて,擬ゼロ次正規グラフ上におけるラプラシアンの妥当な定義にも成功した.これにより,一般拡散方程式様のアルゴリズムを幅広く構成することができるようになるという成果が得られ,実際に計算を行ない確かに求解アルゴリズムとしての性能を持つことが確認できた.また,この擬ゼロ次正規グラフが任意の二辺連結グラフから変換可能であることもわかった.また,これまでの離散数学における様々な方法論との関連,特にペナルティ法の既存求解アルゴリズムとの関連の調査も行い,ヤコビアンが事前計算可能であること,ペナルティ関数の厳密な減少性が保証できること,係数行列がより疎であること等の点において本方法が優れていることが判明した.また,得られるアルゴリズムの性能が一般に利用するペナルティ関数の性質に依存する問題に対し,離散かつ有限な独立変数値を周期配置してmodをとり,さらに周期関数を組み合わせるという方法を試験的に導入しよい結果を得た.以上の結果より,本年度は当初の計画に見込まれた多くの結果が得られたと評価できると考えるものである.
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