2007 Fiscal Year Annual Research Report
整数制約問題等の偏差分方程式化による数値解析に基づく求解アルゴリズム
Project/Area Number |
18656030
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
降籏 大介 Osaka University, サイバーメディアセンター, 准教授 (80242014)
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Keywords | 離散問題 / 整数制約問題 / グラフ / アルゴリズム / ペナルティ法 / 非線型偏微分方程式 / 離散変分法 / 数値解析 |
Research Abstract |
本年度の目的は,当課題の方法論自身の性質の調査,数学的な定式化および可能性の模索と,適用が可能な離散数学問題の対象のさらなる発見,対象範囲を拡げるための一般化であった.そのため,まずはグラフ上の共役作用素の数学的性質について定式化の発展を試みた.これまでの研究では,擬ゼロ次正規グラフ概念を導入して部分積分公式を導出し,ラプラシアンの積分定義を組み合わせて,擬ゼロ次正規グラフ上におけるラプラシアンの定義を行ない,一般拡散方程式様のアルゴリズムを構成することに成功していた.これをうけ,この概念を広く通常の空間に一般化することを試みた.その結果,Voronoi-Delauney双対分割に基づいて,通常空間を非構造格子に分割しても同様の離散部分積分公式が厳密に成り立つことを見いだした.これは変分導関数の構造が非構造格子上の差分法で厳密に保たれることを意味するため,画期的な成果であると言える.また,Voronoi-Delauney格子上においてはラプラシアンと境界一階微分には本質的に相違が無いというやや驚くべき結果も得られた.この結果は微分方程式を離散化する数値解析法において本質的に重要な知見となるであろう.また,アルゴリズムの側面では,これまではペナルティ関数の定義域が一次元実数空間にあったためlocal-minimumが存在する可能性が高く,アルゴリズムが途中で停止してしまう可能性が強かったが,定義域をS2ないしはR3空間にすることでこの可能性を低減することに成功した.これにより,アルゴリズムの実用性向上だけでなく,本来の問題の可解性を示せる可能性が出てきたことは一定の成果と言えよう.以上の結果より,本年度は当初の計画に見込まれた多くの結果が得られたと評価できると考えるものである.
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