2006 Fiscal Year Annual Research Report
歯科不正咬合の頭蓋骨格系に及ぼす力学的影響に関する研究
Project/Area Number |
18656038
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
澁谷 陽二 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (70206150)
|
Keywords | 歯科咬合力学 / 3次元有限要素解析 / 頭蓋系モデル / 顎関節 / はり要素 / 片噛み |
Research Abstract |
噛み合わせの不具合は,単に歯科領域に関する疾患の誘発にとどまらず,医科(整形外科,外科,内科等)疾患の誘発,さらには寝たきり老人の輩出につながっていることが,噛み合わせを行う歯科医院の臨床実績に次第に表れてきている.しかしながら,噛み合わせの不正と全身の骨格系のひずみとの関係はいまだ科学的に明らかにされておらず,そのことが噛み合わせの重要性を広く市民に普及させない大きな原因とも言える.そこで,本研究では,不正咬合の生体構造に及ぼす力学的な影響を,科学的な根拠に基づき明らかにすることを目的とした.口腔内の不正咬合から,上下顎・頭蓋・頸椎を通じて全体の骨格系におよぶ力学的なつり合い状態を求め,全身で自己平衡している状態を明らかにする咬合解析シミュレータの開発をめざす研究構想全体の枠組みの中で,とりわけ支配的な咬合力分散が見込まれる下顎,上顎を含む頭蓋の3次元はり要素を用いた有限要素解析モデルを構築した.不正咬合が導く力学的平衡状態を求めるために,適切な咬合力を歯列に負荷し頭蓋系全体の力学解析を行った.その結果,以下のことがわかった. 1.咬合による荷重分担は,基本的に頭蓋系の前頭葉の領域で負担している. 2.咬合力が前歯に負荷されるにつれて,顎関節に生じる支持反力が増加する. 3.歯列に荷重を負荷する場合と,それに相当する咬合系の咀嚼筋に収縮力を作用させる場合では,支持反力の大きさなど力学的なバランスは異なる. 4.片噛みにより,微小ではあるが頸椎に変形に伴うモーメントが発生する.
|
Research Products
(1 results)