Research Abstract |
本研究の目的は,ナノ気孔を有する硬質多孔性粒子であるRBセラミックス粒子を合成ゴムなどのエラストマーに配合することにより,流体存在下においても,高摩擦を示す新しいエラストマ-複合材料を開発することである.この目的を達成するために,平成19年度では,平成18年度に開発されたRBセラミックス粒子配合ゴムについて,硬度の異なる相手材料(アクリル樹脂:20HV,SUS303:184HV,SUJ2:751HV)との摩擦試験を水中ならびに油中(エステル油)において行い,RBセラミックス粒子配合ゴムの水潤滑下,油潤滑下における摩擦係数に及ぼす相手材料の硬さの影響を明らかにした.平成19年度に得られた主な結果は以下のとおりである. (1)相手材料がアクリル樹脂,SUS303の場合,RBセラミックス粒子を配合したゴムは,水潤滑下,油潤滑下ともに,RBセラミックス粒子未配合のゴムに比べ,1.4〜4.4倍の高い摩擦係数を示した. (2)相手材料がSUJ2の場合,RBセラミックス粒子を配合したゴムは,水潤滑下,油潤滑下において,RBセラミックス粒子未配合のゴムとほぼ同等あるいはそれ以下の摩擦係数を示した. (3)RBセラミックス粒子よりも軟質な相手面の摺動痕には,RBセラミックス粒子による引っ掻き傷が確認された.このことから,RBセラミックス粒子よりも軟質な相手面に対して,RBセラミックス粒子が相手面に食い込むことができ,多孔質なRBセラミックス粒子への水膜・油膜吸収効果に加え,RBセラミックス粒子のマイクロスパイク効果によって高摩擦が得られることが確認された.
|