2006 Fiscal Year Annual Research Report
低級アルコールのラジカル消費効果による急速圧縮予混合気の能動的着火制御
Project/Area Number |
18656063
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小川 英之 北海道大学, 大学院工学研究科, 教授 (40185509)
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Keywords | 予混合圧縮着火 / メタノール / 低温酸化反応 / 内燃機関 / OHラジカル / エミッション / 着火 / NOx |
Research Abstract |
メタノールの強い低温酸化反応抑制効果に着目し,ディーゼルエンジンの吸気管からメタノールを導入することにより,軽油の着火遅れを確保して予混合化を促進させ,黒煙とNOxの同時低減を図った.圧縮比が着火遅れに及ぼす影響を検討するために,三通りの圧縮比について実験を行った結果,メタノール添加の有無によらず圧縮比が低くなるほど着火遅れが増大し,予混合化が促進されることが確認された.圧縮行程7℃A BTDC,20℃A BTDC,30℃A BTDCの三通りの噴射時期について美醜を行った結果,30℃A BTDCまで噴射時期を進角させると微小な低温酸化反応の発現が認められ,予混合化がかなり進行することが示されたが,単なる進角では,NOx,最大圧力上昇率の増大および,熱効率の低下を招く結果となった.一方,軽油の噴射時期を圧縮行程40℃A BTDCとした早期噴射において,投入熱量に対するメタノールの占める割合を30%とした場合,低温酸化反応にともなう熱発生が消滅し,着火遅れが大幅に増加して,予混合化がかなり促進され超低NOx運転が実現されることが示された.EGR時におけるメタノール添加量の影響を検討した結果,EGR率が30%程度以上の条件における10%程度のメタノールの添加により着火遅れ期間が増大することが確認された.またEGRを使用して上死点で着火が得られるように軽油の噴射時期を設定した場合には,EGR率が35%以上の条件でメタノールを軽油の発熱量に対して10%程度添加することにより,超低NOx・無煙運転が可能であることが確認された.以上より,メタノールを添加することによって着火遅れが増大して予混合化が促進され,最適なメタノール添加量と噴射時期の条件において超低NOx・無煙運転が可能であることが示された.
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