2006 Fiscal Year Annual Research Report
等積条件下での凍結の熱力学的特性と生体凍結保存の有用性
Project/Area Number |
18656067
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
石黒 博 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 教授 (30176177)
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Keywords | 凍結保存 / 等積 / 受動的加圧 / 熱力学特性 / 凍結保護物質 / 濃度 / 細胞 / 生存性 |
Research Abstract |
生体の凍結保存において系圧力を従属的制御因子に加えた、体積一定条件下での新しい凍結保存法を提案すると共に、その特性や有用性の解明には、熱工学的手法による基礎研究が有用であるとの立場から、等積条件下での凍結保存法に対して、凍結保存に関わる水溶液の凍結の熱力学的特性の解明を目指した。これにより、熱力学的特性に基づいて、生体材料の凍結・融解後の生存性を調べる準備を行った。 具体的には、等積条件下での凍結のための実験装置を作製した。次いで、等積条件での凍結実験として、純水の凍結の熱力学的特性を測定した。 1)実験装置の設計・製作: 水溶液、または、生体材料を伴う水溶液を封入・密閉するための壁肉厚の金属(ステンレス)製密閉容器(耐圧約1000気圧)を設計・作製した。低温恒温循環水槽を用い、容器をまるごと外部から冷却することにより、等積条件での凍結を実現した。ここでの「等積」は、温度降下に対して、凍結が進行する際に、系圧力の相当な上昇を伴うよう、系の体積が十分に拘束されている」を意味する。 2)純粋水の等積凍結実験: 純水の凍結の熱力学的特性として、設定温度に対して系圧力(熱平衡状態)を測定した。これにより、装置の取り扱いや熱工学的特性量(温度、圧力)の測定方法を確立した。温度は、零下で約-20℃(共晶点)までの範囲で変化させ、圧力に関しては、微生物の死滅やタンパク質の変性を避けるため、最高でも1000気圧以下を目安にした。
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