2006 Fiscal Year Annual Research Report
燃料電池用ポリマー電解質膜内の物質拡散係数リアルタイムセンシングの研究
Project/Area Number |
18656069
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
長坂 雄次 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (40129573)
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Keywords | 熱物性 / 輸送現象 / レーザー計測技術 / マイクロスケール熱工学 / 物質拡散係数 / 燃料電池用ポリマー電解質膜 / ソーレー強制レイリー散乱法 / ソーレー効果 |
Research Abstract |
本年度の研究成果は以下のようにまとめられる。 [1]ポリマー膜内のメタノールの物質拡散係数の測定を行なうことを最終目標として,赤外波長のレーザーを加熱に用いるソーレー強制レイリー散乱法の装置設計を行った。高出力CO_2レーザー(10W)を導入し,ソーレー効果が小さい混合液系(S_T〜10^<-2>〜10^<-3>K^<-1>)であっても再現性良く測定が可能なパラメータ設定を検討した。 [2]極めて微弱な拡散現象による信号だけを拡大すると,光電子増倍管が飽和してしまう問題を解決するために,2台のAOM(光学音響素子:Acoust-optic modulator)を導入し加熱・観察用の2つのレーザーのシャッター開閉タイミングを適切に制御する装置を開発した。 [3]バルクのメタノール水溶液(80wt%)の拡散係数測定を常温で行い,開発した測定装置の有効性を確認した。また,信号を安定して検知するための最適な光学系の条件設定,及び試料セルの構造を検討した。 [4]メタノール水溶液を十分に浸透させた高分子電解質膜(Nafion【○!R】)を試料として信号検知を行った。加熱終了直後に見られる減衰信号をメタノール水溶液の熱伝導による減衰波形と比較すると予想される拡散現象の時定数より大きく,乾燥状態のNafionを試料としたときの信号とも異なる信号であることが明らかになり,今後試料セルの検討や信号の理論的解釈が課題となった。
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